桐生夢小説

□集結
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アサガオのみんなは平和な日々を過ごしていた。

芽「はーい!カレーできたわよー!」

綾「テーブルの上片付けて!」

遥「ほら志郎。ご飯の時はタブレットしまって!」

みんなは夕飯の準備をした。

理「三雄がまだ練習から戻ってないよ。」

太「あいつ張り切ってるなー。」

宏「野球推薦の話でしょ?そんなにうまく行くかなぁ。」

そこに三雄とエリが帰ってきた。

みんなでいただきますと手を合わせ、夕飯を食べて行く。

三「ねぇ、食べ終わったら出かけてもいい?」

芽「いいけどどこに行くの?」

三「この後大城と筋トレする約束してきたんだ。」

芽「そっか、わかった。気をつけて行くのよ。」

三「うん!」

泉「おじさん刑務所から帰ってきたら驚くね!三雄にいちゃんがプロ野球に入るかもって!」

エ「馬鹿、気が早すぎだよ。まだ中学生なんだから。」

遥「でも、野球推薦の話が来るなんて三雄頑張ったんだ。」

太「前は宏次が教えてやってたのにいつの間にか立場逆転だもんな。」

宏「うっさい。」

推薦の審査には勉強や家の事など様々あるらしい。

宏「家の事って・・・それじゃうちってやばくね?」

やばいと遥と芽依の顔を見るが、変な空気になっていった。

太「・・・馬鹿。」

宏「いやでも実際さ・・・。」

三「大丈夫だって。俺がアサガオの子供だって事はみんな知ってんだから。その上で来た話なんだ。」

遥「・・・。」

三「だからもし話がぽちゃったとしてもそれは俺の力不足って事だからさ。」

芽「・・・頑張ってね!私応援してるから!」

三「うん。ありがとう。」

みんなは食事を終え後片付けをした。

その日の夜。

子供部屋を開けると遥の姿がなかった。

芽「あれ・・・どこ行ったんだろう。」

外に出てみると、遥の姿が見えた。

海岸に座って携帯を見ているようだ。

芽「・・・なにしてんの?」

遥「うわっ!」

慌てて携帯を隠す。

どうやら泣いているようだ。

芽「・・・何かあるなら話してみなよ。」

遥「・・・。」

遥は隠した携帯を芽依に見せる。

芽「ヤクザの娘の遥ちゃんがアサガオにいた件・・・。」

遥「私・・・ここに戻ってきちゃいけなかったんだよ。」

芽「遥ちゃん・・・。」

遥「芽依さん・・・私・・・どうしよう。」

芽「・・・三雄くんの野球推薦の事もあるから気になっちゃうよね。」

遥「・・・。」

芽「でも、遥ちゃんが帰るべき場所はここなのよ。遥ちゃんが帰ってきてみんな喜んでたじゃない。」

遥「でも、みんなの重荷に・・・なりたくない。私のせいでみんなの将来が奪われるなら・・・帰りたくない。」

芽「・・・遥ちゃん。」

遥「私・・・出て行く。」

芽「えっ。」

遥「ここから離れて・・・しばらく1人で暮らす。」

芽「・・・。」

遥「・・・ごめんね、芽依さん。」

芽「・・・それじゃあ、私と一緒に名古屋で暮らさない?」

遥「え?」

芽「実は神室町に来るまで名古屋で暮らしてたんだ。いい場所だったし、拓海も知ってる土地の方がいいかなって。」

遥「でも・・・芽依さんは関係ないじゃない。」

芽「関係あるよ。えっと・・・ほら、ここ!」

遥の携帯を指差す芽依。

そこには『桐生一馬の嫁も発見。元空手世界一らしい。』と書かれていた。

芽「遥ちゃんが覚悟して出て行ったのに、私が残ってたんじゃ意味ないでしょ?」

遥「・・・。」

芽「だから、騒動が落ち着くまで・・・みんなが私達のことを忘れてくれるまで、私と一緒に暮らそう?」

遥「芽依さん・・・。」

遥は芽依に抱きついた。

芽依は優しく背中をポンポンと叩いた。
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