桐生夢小説

□集結
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久しぶりのアサガオ。

少し緊張した。

芽「・・・行くよ。」

遥「うん。」

ガラガラっと玄関を開けると太一がいた。

太「えっ。」

芽「・・・ただいま。」

太「芽依ねーちゃん・・・遥ねーちゃんも。」

遥「・・・元気だった?」

太一は涙を堪えながらみんなを呼ぶ。

泉「遥おねぇちゃん!寂しかったよ・・・。」

宏「どこ行ってたんだよ!」

綾「おかえり・・・。」

みんなは涙を流し、抱き合った。




エ「じゃあ、また一緒に暮らせるの!?」

芽「うん。」

三「本当におじさんも後から戻ってくるんだよね?!」

遥「そう約束してくれたから。」

やったーと喜ぶ子供達。

拓「にーに!にーに!」

拓海も久しぶりのみんなに大興奮だ。

大「本当に拓海も大きくなったな!」

志「出て行くときはまだしっかり歩けなかったのにね。」

綾「ほら、おいで拓海。」

拓「ねーね!」

芽「ふふっ、よかったわね拓海。」

拓「キャッキャ!!」










それから半年後。

遥は桐生と面会していた。

桐「遥、よく来てくれたな。変わりないか?」

遥「そんなにすぐ変わらないよ。アサガオも相変わらず、みんな元気にしてる。」

桐「そうか、ならよかった。」

遥「そうだ。芽依さんが・・・離婚届出したからって。」

桐「・・・そうか。」

遥「今日も一緒に行こうって言ったんだけど、一回会ったらまた会いたくなるからって。」

桐「・・・。」

遥「・・・ごめんね。」

桐「え?」

遥「・・・私のせいだよね・・・2人が離婚するのは。」

桐「・・・それは違うぞ遥。全ては俺が起こした問題なんだ。」

遥「・・・。」

桐「元とはいえ、所詮はヤクザ。そんな俺が、家庭を持ち子供たちを育てる・・・こうなる事はわかってたはずだ。」

遥「・・・。」

桐「俺の考え方が甘かったんだ。だから、遥が謝る事じゃない・・・わかったな?」

遥「・・・うん。」

桐「・・・マスコミに追われたりしてないか?」

遥「・・・たまにそういう人も来るけど、芽依さんが撃退しちゃうから大丈夫だよ。」

桐「ふっ・・・そうか。芽依がそばにいるなら安心だな。」

遥「うん。」

桐「すまないな遥。今の俺には何もしてやれないが、仮釈が出ればあと3年くらいで出られると思う。」

遥「・・・それでも、3年。」

桐「俺は・・・こんな俺を家族と呼んでくれたお前に恥ずかしくない人間になりたいんだ。こっから先の3年は、そのための時間だ。」

遥「・・・。」

桐「どうかしたか?」

遥「私は・・・芸能界に入って、おじさんと芽依さんの事を家族と呼べないのが辛かった。」

桐「ん?」

遥「芸能界に入った事を後悔してるんじゃないの。その逆だよ。おじさん達を家族って呼べなかったあの時間があったから、私は・・・あのステージで初めて2人のことを家族なんだって、心から思えた。」

桐「・・・。」

遥「それまでは、2人と一緒にいる事がずっと当たり前だったから。まだ子供だったから・・・深く考えた事がなかった。」

桐「・・・。」

遥「だから今、おじさんと一緒に暮らせなくても頑張っていける。どんなに離れていても、家族だって心に刻む事ができたから。」

桐「・・・。」

遥「今日はそれを言いにきたんだ。また一緒に暮らし始めたら、もう恥ずかしくてこんな風に言えないもん。」

桐「そうか・・・。」

遥は照れ笑いをする。

桐生も優しく微笑んだ。
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