桐生夢小説
□集結
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秋「ハァ・・・ハァ。遥ちゃん、桐生さんの容態は?」
遥「あ、秋山さん。」
拓「ねーね!パパねんね?」
遥「・・・そうだよ。パパはねんねしてるんだよ。」
秋「ハァ・・・その子がいるってことは芽依ちゃんもいるってことか。」
ふぅと一息つき遥に上着を渡す。
秋「上着も着ないで出ていったって聞いてね。」
遥「ありがとうございます。」
そこに芽依が戻ってきた。
芽「あ、秋山さん。いらしてたんですか。」
秋「あぁ。それで、桐生さんの容態は?」
芽「一馬さんなら大丈夫です。2週間もすれば退院できるって。」
秋「そっか・・・ならよかった。」
遥「よかった、おじさん。」
芽依は遥から拓海を受け取る。
秋「それにしても、さっきのステージじゃ思い切ったね。ニュースで何回も流れてる。」
遥「・・・。」
秋「ただ、あそこで君が言ったようにはいかないかもしれない。元ヤクザに育てられたアイドルのステージでの引退宣言。その周辺で起きていた東城会や近江連合の抗争。」
芽「・・・。」
秋「テレビの騒ぎでわかってるだろうけど、君と芽依ちゃんと桐生さんが一緒に暮らすには覚悟がいるよ。周りが静かになるまで、少し時間がかかる。」
遥「・・・ええ。」
秋「まぁ、俺なんかが外野から口出す話じゃないか。君らならきっと大丈夫。乗り越えられるさ。」
遥「はい。秋山さんには本当に色々助けてもらって・・・。」
芽「・・・ありがとうございます。」
2人はペコリと頭を下げた。
秋「やめてくれよそういうの。」
芽「アサガオに帰ったら、秋山さんの歓迎パーティーしないとね。」
遥「・・・うん!」
遥は昔のような笑顔に戻っていた。
芽「・・・そういえば、ここにくる途中でマスコミの人たちが言ってたことが気になったんですけど。」
秋「ん?」
芽「桐生一馬・・・容疑者って。」
遥「えっ?」
芽「・・・もしかしたら警察が一馬さんのこと。」
するとガラッと病室が開く。
「警視庁のものです、どうかそのままで。」
噂をすれば警察がやってきた。
「桐生一馬を神室町での暴行傷害、ならびに器物損壊の容疑で逮捕します。」
芽「な、なんで。」
「それでは、皆様にはご退室願います。」
芽「いや・・・嫌よ一馬さん!」
秋「芽依ちゃん!ここは言う事を聞くんだ。」
芽「嫌!!警察だかなんだか知らないけど、こっちに来ないで!」
秋山は小さな声で話す。
秋「・・・芽依ちゃん。君がここで公務執行妨害で逮捕されたら、今までのことや桐生さんのこと、根掘り葉掘り聞かれる。もしかしたら君も暴行罪で逮捕されるかもしれない。」
芽「・・・。」
秋「そうしたら拓海くんはどうする。父親も母親もいないなんて、桐生さんはそんなこと望んじゃいないよ。」
芽「・・・。」
芽依は病室を出ていった。
拓「いやぁー!パパと一緒ー!」
桐生に手を伸ばす拓海。
廊下に出るとピシャリとドアを閉められてしまった。