桐生夢小説
□集結
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廊下には真島と冴島と伊達がいた。
真「・・・桐生ちゃんはどないした。」
芽「・・・。」
真「・・・芽依ちゃん!」
芽「・・・一馬さんは、逮捕されました。」
真「・・・おい。なんでや!!桐生ちゃんは悪くないやろ!」
伊達を睨む真島。
伊「・・・俺には何もできないんだ。悪いな。」
真「ちっ!!」
冴「・・・なんで桐生さんが。」
秋「・・・行こうか、芽依ちゃん。遥ちゃん。」
芽「・・・。」
遥「おじさん・・・。」
伊「ここから出るなら俺の車に乗れ。外はマスコミだらけだからな。」
秋「すいません。」
4人は伊達の車に乗り、いつものBARに向かった。
テレビでは早速桐生の逮捕のニュースが流れていた。
伊「今回の桐生の逮捕、ありゃ警視庁のメンツを立てるためのパフォーマンスだ。」
秋「パフォーマンス?」
伊「抗争を引き起こしたのは間違いなく近江連合なんだが、世間から見りゃ近江も東城会もヤクザにかわりねぇ。」
遥「・・・。」
伊「東城会関係者からも逮捕して両成敗にしねえと、世間を納得させられねんだと。まぁ、警視庁もちゃんと仕事してるっつうアピールだ。」
秋「・・・たしかに桐生さんは東城会の元四代目です。けど、今回の抗争収めるのに一番身体張ったのもあの人だ。」
芽「・・・。」
秋「なんとかならないんですか、伊達さん?桐生さんの担当刑事でしょ?」
伊「誰が桐生担当だ、人聞きの悪い。」
秋「そもそも桐生さんだけ逮捕されるってのもどうなんです?現役バリバリの東城会幹部はお咎め無しって聞いてますけど?」
伊「警視庁のポーズの為に幹部連中捕まえたら、今度は東城会の下の連中がおさまらねえだろ。」
秋「だからって、引退してた桐生さんを東城会の代表として逮捕するんですか?」
伊「東城会の四代目ってだけじゃねえ。桐生一馬ってのは堂島の龍で通った伝説の極道だ。いくら足洗おうが、堅気からみりゃ充分裏組織側の人間なんだよ。」
遥「・・・あの。おじさんはまた刑務所に入ることになるんですか?」
伊「真っ当な弁護士がつきゃ、ムショには入らないで済むはずなんだが・・・桐生の出方次第か。」
芽「・・・一馬さんは・・・刑務所に入ると思います。」
遥「えっ。」
芽「このまま逮捕されずにアサガオに戻ったら・・・また騒ぎになります。それなら・・・逮捕されてケジメをつけてからアサガオに戻る。きっと・・・そう考えてるんだと思います。」
伊「・・・だよな。俺もそう思う。」
遥「おじさん・・・。」
すると拓海が椅子から降りて芽依を引っ張る。
芽「なぁに?どうしたの?」
拓「パパのとこ行く。」
芽「・・・パパにはまだ会えないのよ。」
拓「やぁだ!!パパのとこ行く!!」
芽「・・・わがまま言わないの。ママがいるでしょ?」
拓「やだー!!パパがいい!!」
芽依は涙を流して拓海を抱きしめる。
芽「ごめんね・・・。パパに会いたいよね。」
拓「うわぁーん!!」
芽「ママも会いたいよ。」
秋「・・・。」
芽「でも会えないんだよ。」
遥「・・・。」
しばらく拓海の鳴き声が店に響き渡った。