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□奪われたくない。
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「俺、キヨくんのこと信じてるよ。フジくんも酔ってたし、あれは冗談かなんかなんやろ? でもな、キヨくんがあんな焦ってたら不安になるわ」
レトさんの家に着いて、とりあえず2人してソファに座るとまずレトさんが真っ先に口を開いた。
相変わらず声は震えている。
レトさんは視聴者には阿呆とかバカとか、ツンデレなんてことも言われるけど、こーゆう大事な時にはきちんと話をまとめて素直に話してくれる。
そんなところも、俺は好き。
だから、俺も正直に話さないと。
「ごめん、レトさん。それほんとなんだわ。フジのこと押し倒したし、その、あいつのを踏みつけてやったりもしたんだけど……、ほんの遊び心っていうか、その、お互い深夜テンションでおかしくなってて、まあただの言い訳なんだけどさ……でも、その」
やばい、言葉がまとまらない。
フジが俺のこと好きだったこととか、フジに襲われそうだったことを隠して、尚且レトさんのことをちゃんと好きだって信じてもらうのはこんなにも難しいことなんだ。
「こんな状況で信じてもらえないかもしれないけど、俺はレトさんが一番好き。もちろんあの後は何もしてないし、フジは仲のいい友達だと思ってる。でも、レトさんを不安にさせるようなことをしたのはごめん」
語彙力のない日本語で、自分の言えることを伝えた。
レトさんは黙って聞いていてくれた。
これを聞いて、どんな反応をするんだろう。
「キヨくん、俺のこと抱いて」
レトさんの口から出た言葉には驚いた。
普段は恥ずかしがって絶対にそんなことは口にしない。俺から誘ったとしても、顔を真っ赤に染めて最初はいやいやと首を降るのがレトさんだった。
行為が始まってしまえばある程度素直にはなるのだけど……。
「わかった」
レトさんの頼みを断れるわけがない。
何より、あんな大胆な誘われ方をして断れるわけがない。
ベッドに移動して、向かい合わせに座る。
そして、レトさんに口付ける。最初は優しく触れるくらいに、段々と深く貪るように。
「ふ…ぁ、んんっ」
「ん、ふ…っ、レトさん…」
存分にキスを楽しんだあと、レトさんの服と下着を脱がせる。レトさんは恥ずかしがってキヨくんも、と言うので俺も裸になる。
突起をつん、とつつけばレトさんは途端に甘い声をあげる。
「ぁ、んん…キヨっぉ、」
どこか切なそうに喘ぐその声は俺の鼓膜を刺激して、理性を全てなくさせる。
「レトさん、指入れるよ…」
「ぅ、ん……」
レトさんの自身から溢れでた先走りを掬い、痛くしないようゆっくりと指を沈める。
「あっ、ぁ、そこ、やめ…!」
イイところを押すと、喘ぎ声も大きくなる。
言葉での抵抗も、可愛く思えてしまう。もちろんやめる気は無い。
「レトさん、俺もう我慢出来ないから……」
「っ、キヨくん、はよ……きてぇ」
とろとろになった顔でおねだりをする。
こんなレトさん見たことがない。
十分に解かしたそこに、自らのモノを入れていく。
きゅうきゅうと締め付けてくる感覚が、レトさんに求められているみたいで好きだった。
「あっ、ぁあ…、ぁ、キヨぉ、」
「レトさん……っ」
限界が近づいてくるとお互い名前を呼びあって、それが合図かのように同時に欲を吐き出す。
「はぁ、…ぁ、…」
俺がレトさんの中から自身を抜けば、レトさんはしばらく荒い呼吸を繰り返していた。
そっと頭を撫でると、レトさんはいっつも爆睡してしまって、俺は仕方ないと思いながら後処理をする。
でも、今日のレトさんは違う。
起き上がって、俺の目を見て、にこっと笑った。
「俺、やっぱキヨくんのこと信じてるで」