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□重なる手。
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今、俺はキヨくんやうっしー、他数名の実況者で飲み会に来ている。
なんか、P-Pがやけに俺の鼻声をいじってくるのがすごいうざい。おしぼり投げつけたい。
「レトさん飲まないのー?」
「俺飲めないんやってー」
俺の正面に座っているガッチさんが、俺が酒を飲めないことを知って酒を勧めてくる。
まあ、ガッチさんももうかなり酔ってるからなあ…。
「レトさん酒弱いからなあ」
「うるさいわ」
隣にいるキヨくんもからかうような口調で言ってくる。キヨくんは酒に強いらしく、今日も少しだけ飲んでるらしい。
わいわいと盛り上がってる中、食べ物をつまむ箸を止めて壁によりかかり床に手をついた。
すると、そのすぐ後に床についた手に温もりを感じる。
最初は何かと不思議に思って、次の瞬間隣にいたのはキヨくんだったと気付きちら、とそちらを見た。
案の定、キヨくんの右手が俺の手に重なっていた。
それにしても……、
なんで何も言わないんだよこいつ!
しかもなんでこっち向かないの、そしてなんで手退かないの!?
なんか変に気まずいし、俺も何故か何も言えなくなった。
「あれ、なんかレトさん顔赤くない?」
斜め迎にいるP-Pから声をかけられるけど、何も答えられない。多分、顔赤いと思う。
なんでかって、この重なっている手のせいだ。
「ん? レトルト酒飲んでないのに酔ったの?」
「何やお前ら……酔ってないわ」
うっしーもP-Pの発言に乗るから、余計恥ずかしくなってくる。もう、キヨくんの方を向けない。
キヨくんは一向に手を退けない。しかも、いつもはからかってくるようなことも全然乗ってこないし、怪しまれるやろ……。
ちなみにこの重なった手は誰にも見えてないらしい。
「そういやさぁ」
うっしーが話し出す。
その内容は俺、そしておそらくキヨくんにも、とんでもないものだった。