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□ほんとのきもち。
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ずっとみてるのに。気づかない。
たくさん話しかけて、笑いかけて、褒めて、からかって、それでも。


もーなんでこんな好きになったんやろ。





キヨくんのこと。








「キヨくーん、今日泊まらんの?」


「あー、泊まろうかなあ。もう遅いし」




こんな些細なことでも嬉しくて。



告白する勇気は、なくって。




「ねえレトさん」



実況を撮る時や放送の時よりもさらに低い声で呼ばれると、少しドキッとする。



こんな乙女みたいな自分が嫌いになりそうだ。



「どうしたん?」



「俺、恋人欲しいわ」



「は...…?」



いきなりの発言。


俺にどうしろと!!



「お前ならすぐ出来るやろ」



少しいらっとして声が低くなる。


そしたらキヨくんは、



「レトさんが恋人になってくれたらなあ」


……



「なんや、酔ってるんか?」




すると、キヨくんはけらけらと笑う。
俺、酒飲んでねーよ?と。




「冗談もほどほどにせーや」




どきどきしている自分が憎い。

どうせ馬鹿にしてるだけなのだ。





「めっちゃ嫌そうな顔するじゃーん」




そう言ってキヨくんはまたケラケラと笑う。




「じゃあそーゆうことにしておいて」


さらっと話をなかったことにされる。


俺もう眠い、寝ていい?



と言って寝室へ行こうと背を向けるキヨくんをみて、ぼそっと呟く。




「俺はほんまに、好きなのに……」




あーもうばか。



自分自身とキヨくんに向けて心の中で呟いた。





end.
→あとがき。よければ
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