少年と…

□その結果
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その結果

どうしたら、良い?
どうしたら、社会が良くなる?
どうしたら、この世界から戦争がなくなり平和な世の中へと移り変わるのか。
成り代わるのか。
その答えは……

とある県のとある研究所。
「――」
博士の名前を呼ぶ声がする。
だが、博士はまだ眠いらしくそのまま声を放っておく。すると、今度はより強い口調で声は言う。
「博士!」
しかし、未だに博士の返事がないので、その声の主は何度も呼ぶ。
「博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士、博士」
声が叫ぶかのように高く鳴り響いてからしばらく。
ガタンッ
その無機質な声音の連続に博士はついに嫌気が差し、眠り眼で少女の頭を叩く。
さしずめ、目覚まし時計か何かのように。
だが少女は痛がる様子もなく、ただ口を閉じ博士を見つめるだけだ。
博士も仕方がないと、ゆっくり起き上がる。
「もう朝か?」
博士がベッドから下半身を降ろし、伸びをしたあと少女に言う。
少女はその声と同様、機械的な目で博士を見る。
「はいそうです。設定された時刻からおよそ1分34秒遅刻です。」
「お前、秒単位まで分かるようになったのか!?」
少女から抑揚のない声でそう言われると、博士は目を丸くして言った。
まるでつい先日まで、秒というものが何かを少女が知らなかったかのように。
いや、実際知らなかったのである。昨日の夜、博士が教えたばかりなのだから。
それを流暢に少女は使いこなした。
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