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□食林寺に守護神現る!?
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ガキンッ!!
「「!?」」
食林寺全体には私が前もって張っておいた守護結界がある。草木や池も含めてね。
張ってないのは今私たちがいるこの広場の地面から上空までだけ……こんな大規模な結界は今まで張ったことないし本来ならかなり消耗されるけど、今の私は守護壁一枚張る程度くらいでモノともしていない。
「珍師範と約束したんですよ。寺を……みんなを守るってね。それにこれ以上、寺を壊されたら弁償代が嵩張るので勘弁してください」
ニコッと私が微笑んでそう言えば、千代さんは面白そうに「ホォ……」と呟いた。
「なかなか面白い術を使うの。防御が得意のか」
「もちろん、それだけじゃありませんよ」
私は両手を前に出すと、手の平から炎のエネルギーが集まる。
「爆炎乱舞!!」
「「「!?」」」
私が放った技が巨人を一気に四人倒した。残り一人はくらう前にかわしたから、仕留め損なったな。
……瑞貴の爆炎乱舞をくらった巨人が跡形もなく煤しかない状況に、千代や大竹だけでなく、シュウも目を見開いた。
(本当にこの人は、あの瑞貴さんなのか……!? この寺を訪れたときとは技の威力も数もケタ違いなのに、本人は息一つ乱れていないなんて……!)
……そのとき騒ぎが聞こえた小松が、瑞貴のことを心配してトリコを待つバブルウェイからこの戦いの地にやって来たのだが、目の前の相手に集中していた双方は気づかなかった。
(瑞貴さん! どうか無事で!)
☆☆☆☆☆
「ハァ……ハァ……」
……珍師範から食没の答えを教えてもらっても、トリコはそれを習得できずにいる。それにバブルウェイは延々と続いてさすがのトリコも限界だった。
しかし食没のおかげで無事な珍師範は立ち止まってうしろの空を見ると、一部の空間がただならぬ気配を見せていた。
「マズいの。この気配はまさか……急がねば」
「ハァ……!」
トリコが両手と両膝を地に付けて肩で息をしている。もう立ち上がるのもままならない状態なので、限界だと珍師範は悟った。
(マズい……意識が……)
トリコが失われつつある意識の中で、グルメ細胞の悪魔である赤鬼が自身を食っていた。何度かある経験なので一時的に意識を取り戻したトリコは、グルメ細胞のオーラを出しつつもう一度立ち上がる。
「ホォ。自食作用(オートファジー)じゃな?」
「自分で自分の細胞を食ったぜ! これでまだいける!」
「よし。その意気じゃ!」
再び歩き始めた珍師範のあとをトリコは付いて行った。