特別編

□温かい仲間に囲まれて
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ザアアァァアアア――……。


「雨、やまないね……」

〈クゥン……〉

〈ア゙ア゙ッ……〉

〈ユーン……〉


洞窟の外で降り注ぐ雨を見ながら私が溜息をつくと、テリーとキッスとユンちゃんも同意するかのように溜息を吐いた。思い出すのは数時間前のこと……。



☆☆☆☆☆


美食王決定戦から数日後、珍しい食材があるということでトリコに誘われて私たちはとある島にやってきた。メンバーはトリコと小松さんとココさんとサニー、そしてそれぞれのパートナーアニマルたち。

久しぶりのみんなに会えて嬉しいし、私にとって癒しのメンバーがたくさんいて嬉しい!


『テリー! キッス! ユンちゃん!』

〈ウォンウォン!〉

〈ア゙ア゙ー!〉

〈ユンユーン!〉


待ち合わせ場所で彼らを目にした私は、さっそく駆け寄って動物特有の温かさとモフモフさに癒されている。


『俺たちよりテリーたちかよ』

『でも瑞貴さん、とても幸せそうですよ』

『フフッ、可愛いね』

『まるで絵画の世界のようだ……美(ツク)しい……』


……瑞貴を中心に癒しのオーラが漂っていて、それに感化されたのか(ふてくされるトリコ以外)他のみんなも自然と笑顔になった。


『とにかくだ! トムの情報によれば目的の猛獣は姿を見つけるのが困難らしい。手分けして探すしかないな』

『じゃあメンバーは……――っ!』

〈ワウッ!〉

〈ア゙ア゙!〉


トリコから再度情報を確認してもらうと、嫌な予感がして私は遠くへ顔を向けるとテリーもキッスも反応した。


『ん? どうした?』

〈ユン?〉

『何か……って、ええぇぇえええ!?』


トリコとユンちゃんは首を傾げるだけだったけど、小松さんが私たちと同じ方向に顔を向けたら盛大に驚いた。それもそのはず……だってこっちに向かって大きな竜巻が来ているんだもん!


ゴゴゴゴゴ――!!


『なっ! なんだあれ!?』

『まるでサイクロンだ……逃げよう!』


小松さん同様に竜巻を目にしたサニーも驚き、ココさんがかけ声を上げると全員竜巻から逃れるために走り出した。


『あっ! そういやトムから、この島は地形のせいで竜巻が多いから気をつけろって言われてた!』

『『『それを早く言え/ってください!!』』』

『僕の占いで出てた巨大な風が僕らを襲うっていうのも、こういうことだったんだ……』

『『『それもだ/です!!』』』


どうしてトリコもココさんも大事なことを早く言ってくれないの!? いや、わかってても防げるかどうかはわからないけど……――ん?


『って、ちょっと待って! 「僕らを襲う」ってことは……』


嫌な予感がさらに近づいてそっとうしろを向けば、いつの間にか竜巻が私たちの近くまで来ていた。
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