□四天王集結!
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……本来、毎日千客万来で賑わうグルメタウン。しかし今日だけ店は一つを除いて全部閉まっているだけじゃなく、街の中には通路も公共の乗り物にも人はいなかった。

唯一開いている――いや、特別営業しているのはグルメタワーの最上階にある『膳王』という十星レストランである。そしてそこの客はたったの四人……美食屋四天王が膳王の料理を満喫していた。


「さすが『膳王』の本店! どの料理もことごとくうめー!」

「ああ。見事だね。星十個……十星レストランだけはある」

「しっかし残念だな。グルメタウンの象徴・グルメタワー、ナイフビル330階……せっかくの展望フロアからの美(ツク)しい景色が、これじゃあな」

「確かに。グルメ時代ではありえねぇ光景だな。これも、グルメ日食が近づいて起きる世界凶行イベントの一つか」

《IGOから非常事態宣言が発令されています。IGO職員の指示に従って人間界中央地帯へ避難してください。繰り返します――》

「街が静かでいいぜ」

「フッ」


グルメタウンのあちこちに聞こえるモニター越しのティナの声は、未だ残っている人が避難できるようにギリギリまで放送している。数十キロ先まで――いや、食義を極めたことでさらに聞こえるようになったゼブラだが、近くでザワザワする人々の声が聞こえないので気分がいいとトリコは気づいた。


「膳王特製の青椒肉絲! まさに王者級のうまさ!」

「あああぐっ! へへっ」


青椒肉絲を豪快に食べるトリコ、焼き餃子を長串で次々差すと団子状にして一気に頬張るゼブラ。二人共この場にある料理の味にとても満足している。


「ったく、品の無(ネ)食い方! 二人共相変わらずだし」

「ああ。でも、グルメ細胞の活性化は前とは比較にならない。もちろんサニー、君もね」

「フッ。ココ、そういうお前だってどんな修業してたんだ?」

「フッ」


チャーハンを食べながら呆れるサニー、ワインを飲みつつ電磁波でグルメ細胞の様子がわかるココ。最後に会ったときとは比較的成長していると感じている。そして全員、この膳王の料理のおかげで少しずつ力を蓄えている。



☆☆☆☆☆


私はフィルに小松さんはテリーに乗って、とある場所からトリコたちの待つグルメタウンまで走って来たんだけど、道中は車はあれど走っていないし人っ子一人いない。


「静かだね……」

「いつも賑やかな満腹都市が……」


私たちは街の様子を見渡していると、橋の道路から降りて下の道に降りたテリーとフィル。すると動きを止めて上を見上げていた。


「「ん?」」


私たちもつられて上を見ると、ビルから思いっきり飛び立ってテリーの頭上に降りて来たのは小さな荷物を持ったリンちゃんだった。


「もう! 超遅いし! かなり待ったし!」

「ご、ごめんなさい! リンさん!」

「気にしなくていいし〜」

「先に行っててもよかったのに」

「二人のことが気になっていたんだし。その様子だと、成功したかな?」

「「うん/はい!」」


リンちゃんもちゃんと体勢を立て直したのを確認し、テリーが走り出すとフィルもそのあとを追って走り出した。
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