□迫る脅威!
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……シャボンフルーツを捕獲するため、食義の修業に励むトリコと瑞貴と小松。地味な修業ではあったが、その効果は絶大であった!

その効果を目の当たりにしたことで、三人はさらに食義への修業を意気込む。特に瑞貴は食林寺に来たときから、第六感で迫り来る脅威を予感しており、同じく感じていた珍師範から食林寺を守るよう頼まれる。

そして珍師範はその時が来るまで準備を始めていた!



☆☆☆☆☆


……日課である食禅をしているトリコと瑞貴と小松。増える分雑念を感知するたいまつくしが十本もあるのに一本も消えていない様子に、シュウはストップウォッチで時間を測りながら感心していた。


(素晴らしい成長だ……! たいまつくし合計十本を、二時間灯し続けるなんて……!)


……修業の初日を思い出せば考えられない光景だ。三人の恐るべき成長を見ながら時間が来たので、シュウはストップウォッチを止める。


「はい。終了です」

「フゥ〜」

「だいぶリラックスしながら感謝できるようになりましたね」

「うん。食禅があと一時間延ばしても大丈夫みたいだね」


この間三日間の修業の成果を目の当たりにしたから、トリコも一段と真面目に修業に取り組むようになった。小松さんもがんばっているし、私も近づく脅威を感じつつ修業に励んでいる。それに本来の時間通りに修業が終わったおかげか、体力作りの特訓もできるようになった。もちろんシュウさんに許可をもらってね。



――私たちはプリンラクダのコブを頭に乗せて感謝ボテンの前に立って合掌・一礼をする修業もクリアし、ローズハムの種も植木鉢の中に植えて合掌したらすぐに満開の花が咲いたし、もちろんサンドイッチョウも全く寄って来ない。食事だってTIGを三人で持てるほどのデッカいお椀が山盛りなるほど壺から箸で移せたし、白魚そうめんも氷樹の箸を使っているのに普通の素麺みたいに食べることができた。

今度は技の成果を試す修業で、トリコが自分より巨大な岩の前で合掌する。そして右手に軽く力を溜めて横に振ると……岩が真一文字に切れたのだ!


「スゴ過ぎます……!」

「ムダな動きがなくなって、技のスピードとパワーがずいぶん増したな」

「じゃあ、次は私の番だね」


トリコが崩した岩の前に私は立って合掌する。そして軽く力を溜めた片手を拳にして腕を伸ばし、前に出してゆっくり開くと……五本の指から放たれた疾風斬によって岩が縦に五本切れた。


「な、薙刀ナシで技が出ました……!」

「ただ念じただけなのに疾風斬が出るなんてね。それも一気に五つも」

「おい、小松。触らねぇほうがいいぜ」

「えっ?」


私が自分の手の平を見ている間、小松さんが無意識なのか岩の切れた側面に触ろうとしていたのをトリコが止めた。


「切り口に触れば、逆にお前の指が怪我するぞ」

「ええええっ!? そうなんですかー!?」

「それほど鋭い切り口ができているということですよ。しかも瑞貴さんもトリコさんも切り口の見た目が荒くもなく輝いているように綺麗ですね」


――次は料理で修業の成果を試す。小松さんはまだしも私も一応したほうがいいとシュウさんが言ったので、私たちはエナメルキャベツの千切りに挑戦した。切るスピードは修業する前より異常に速くなっているし、私たちが切ったそばからエナメルキャベツは飛びながらも隣にあるカゴに移動した。私たちは三分の一ほど切ったあと切る手を止める。


「エナメルキャベツの千切り、こんなに早く切れるようになりました!」

「しかも切った先から余すことなくカゴに入れられるようにもなったしね!」

「やるじゃねぇか! いただきます!」


トリコは小松さんから千切りされたエナメルキャベツを受け取り、片手で挨拶すると口の中に入れる。


「細くて弾力があって、瑞々しい食感……うめぇ!」

「わー! トリコー!」

「いやはや……トリコさん、小松さん、瑞貴さん。まったくもって素晴らしいです! まさか、これほど早く食義を自分のモノにするとは!」


私たちの成長を見て嬉しいのか、トリコは私たちの頭にそれぞれに手を置いて撫でまくる。力は加減しているようから大丈夫でも、シュウさんもいるからなんだか気恥ずかしいんだけど!
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