2
□食林寺に守護神現る!?
8ページ/8ページ
それならと私はブレスレットにさらなる力を溜めた。食林寺の修業のおかげで、私は感情を暴走させることなく、この人間界で呼び出すことができると確信できる……それにこれなら確実に食林寺を守れる!
『我を呼び出すか』
うん。これで食林寺やシュウさんにかけた守護結界の力は倍増するし、一番は千代さんが戦意喪失してくれたら助かるんだけどね……お願い、玄武!
パアアァァアアア――!
「「?」」」
……突然瑞貴の全身に光が放たれて千代もシュウも目を見開いたが、次いで千代はニヤリと笑う。
「ヒッヒッヒッヒッ。これが報告にあった力……あやつが化け物に変わる力か!」
〈化け物とは、些か気に障るのだな。他の世界では自分は神という象徴でもあるのだ〉
その声が聞こえた同時に光が止み、現れたのは蛇を身に纏いゴーレムよりは少し小さくとも巨大な亀がそこにあった。
〈自分の名は玄武。姫の望みによりこの場に参られたのだ〉
瑞貴が玄武に変わった中で大竹は小松の前に立っていた。小松は玄武の姿より、目の前にいる大竹のほうに驚いて目を見開く。
「竹ちゃん……? 竹ちゃんだよね? やっぱり!」
「…………」
大竹の姿はずいぶん変わったが、長年共に修業した小松が見間違えるはずがない。最後に会ったときはケンカ別れのようになっていたため、負い目を感じていた小松は涙を流す。
「あっ…うっ…よかった無事で……! あんな風に別れたきりになっちゃって……連絡も取れなくて……ずっと心配してたんだよ……!」
「俺もだよ、小松」
「!」
「生きてまた……会えてよかった。――お別れが、言えるからな」
「あっ……」
小松は大竹の持つ、漆黒で夜空の星のように煌めく包丁により胸を刺された……。久しぶりの再会は時に嬉しく、時に残酷なモノになってしまった。