特別編
□温かい仲間に囲まれて
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ゴゴゴゴゴ――!!
『速い! みんな受け身を取って――わみゃあぁぁあああ!!』
『『『『わああぁぁあああ!!』』』』
〈ウォーン!〉
〈ユーン!〉
〈ア゙ア゙ー!〉
竜巻に呑まれた私たちは体が宙に浮いて空高くに吹っ飛ばされた。環境適応能力を持っても感覚はあるから衝撃に耐えるように目を閉じて受け身をとっていく。
どれくらいそうしていたかはわからないけど、なんとか竜巻から逃れることに成功したらしい。だけど当然いつまでも重力に逆らえるわけもなく、体が落ちていく感覚がすると地上が見えてきた。
『風舞!!』
両手から自身に風をまとって体を浮かせるとゆっくり地上へ降り、無事に着地することに成功した。
『フゥ。風に飛ばされて風で着地するって、なんだか変な感じ』
〈――ユーン! ユーン!〉
『ん?』
真上から声が聞こえて顔を向けると、涙を流しながらユンちゃんが落ちてくる。一歩引いて両腕を前に出すとうまい具合にユンちゃんが腕の中に落ちた。
〈ユン……ユンユーン!〉
『よしよし。怖かったね』
思った衝撃が来なくて一瞬驚いたのか、ユンちゃんは目をパチクリすると私を確認した途端、大泣きしながら抱きついて来たので安心させるように撫でていく。
〈ウォンウォン!〉
〈ア゙ア゙ー!〉
『テリー! キッスも! よかった、無事だったんだ!』
別の方向から駆け寄ってきたテリーとキッスの無事な姿に私は安心する。
あとはトリコたちだけか……。見た所テリーとキッスも近くにいたのは私とユンちゃんだけだったんだろう。トリコたちは結構遠くへ飛ばされたのかもしれない。
『とにかく、みんなと合流しなくちゃね。みんなのことだから無事だと思うんだけど――』
ポツ。
『えっ?』
ポツ、ポツ、ザアアァァアアア――……。
『なんでこんなときに雨が降ってくるのー!?』
頬に何か落ちた感触がすれば雨が降ってきた。しかもこの様子じゃ、すぐに大雨になるに違いない!
〈ユーン!〉
『ユンちゃん?』
腕の中にいるユンちゃんが必死に何かを示しているのでその方向を見ると、洞窟があった。しかも入口の大きさからすればテリーとキッスも入れる!
『テリー、キッス、あの洞窟に入って雨宿りしよう!』
〈〈ウォン/ア゙ア゙!〉〉
すぐさま私たちは洞窟に入り、持っていたタオルで体を拭いていく。ここは洞窟というよりほら穴みたいで私たちがギリギリ入れる大きさだった。
この雨じゃキッスは飛べないしテリーの嗅覚も効かない……雨がやむまで待機と決まったのだ。
☆☆☆☆☆
予想通り雨は強くなってきた。やむのはまだまだって感じかな。
グウ〜〜……。
「ん?」
〈ユーン……〉
「お腹空いたんだね。スープがあるからみんなで食べよう」
なんだかんだ長い時間ここにいたし、他のみんなが無事かどうかの不安もあるだろう。私はリュックから大きめの水筒を取り出し、BBコーンのポタージュスープをテリーたち用の器に入れて最後に私のも用意した。