特別編
□変わった日常
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「そういえば今日はどうしたの? 急に集まって」
「ああ、そうそう。これを持って来たんだ」
トリコは持って来た大きな袋の中身をテーブルに広げる。中からは大量の食材が入っていた。
「何この食材!? 肉や魚や野菜や果物……どんだけあるのよ!」
「トムからのもらいモンだろ、俺とテリーがハントした奴だろ、あとは小松とココとサニーとリンとティナが持って来たんだ。お前への土産だよ」
「私への?」
「まあ、最近いろいろ連れ出しちまってるし、詫びと礼を兼ねてな。こいつらもお前ががんばってるからご褒美みたいなものだとさ」
苦笑しながら頬をかくトリコを始め周りを見渡すと、全員瑞貴を見て微笑んでいた。正直とてもありがたい。寄付活動をしている間は食材のストックがあまりないため、休んだあとは自分用のハントをしなければと考えていたのだから。
「こんなにいっぱい……! みんな、ありが――」
グウ〜〜。
「「「「「「「…………」」」」」」」
瑞貴が礼を言おうとすると盛大に腹が鳴る音が聞こえた。その原因を全員が顔を向けるのだが、言わずもがなトリコである。
「トリコさん! 全然締まらないじゃないですか!」
「ワリィワリィ! こんなにたくさんの食材見てたら腹減っちまってよ!」
「全く。そうは言ってるが、あわよくば何か作ってもらおうとしてたんだろ」
「あっ、バレた?」
「お前(マ)はいつまで経っても進歩しねぇな。ここに来るまでも下心がバレバレだったし」
「まさか全員今日ここへお土産を持って来るなんて、ウチも思わなかったし。だから大量に持って来たんだけど……こう見ると壮大だし」
「私も、カメラを構えたくて仕方ないわ!」
「ですね」
「「「「「「アハハハハッ!」」」」」」
笑い合うみんなを見て瑞貴も微笑みながら溜息を吐いた。そう――この光景が今となっては日常茶飯事なのだ。
「じゃあ、私からもお礼としていっぱい料理を作るよ。もうすぐお昼だし、外にテーブル出してみんなで食べようか!」
「ええっ!? でもこれ、全部瑞貴さんへのお土産なのに……」
「私もこんなにあると一人じゃ食べきれないから。かと言って寄付に回すのは失礼だし……だから消費を手伝ってくれると嬉しいな」
イタズラっ子のように笑う瑞貴を見て、トリコたちも自然と笑顔になる。