特別編
□癒しはどこに?
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「そこの全員は、トリコとサニーに付き合わされたんだよね」
コクコクコク。
「この森はで癒しの効果を持つから、しばらく休むといいよ。小松さんとユンちゃんは中に入って」
「は、はい!」
〈ユン!〉
瑞貴の言葉に甘えることにし、小松とユンは別室に用意した布団で、テリーとクインは家の外で眠ることにした。さすがに今回ばかりはパートナー(トリコとサニー)の行動に溜息をつくばかりだった。
☆☆☆☆☆
昼前に小松たちは全員目を覚まし、瑞貴の手料理をいただいてヒールフォレストをあとにした。瑞貴もあるお菓子を作ると何泊かの支度を整えて家を出る。
ここ数日のストレスは家にいても落ち着かないため、どこか遠出してゆっくりできる場所をココに教えてもらおうと思い、美食鉄道に乗ってグルメフォーチュンに着いた。久しぶりに来るとあまり月日が経っていないのに懐かしく感じて周りを見てしまう。
「最初に来たのは、トリコに連れられてココさんに会いに行ったんだっけ」
「――そうだね。僕も君がトリコと一緒に現れたときは驚いたよ」
「えっ?」
独り言のつもりだったが返事がした。瑞貴が真正面に顔を向けると目的の人物がいる。
「やあ、瑞貴ちゃん」
「ココさん!」
まさかこの場所で会えるとは思わず、瑞貴は嬉しくなってココの元へ駆け寄って行く。
「どうしてここに? 誰かを迎えに来たんですか?」
「当然瑞貴ちゃんだよ。占いで君が僕に会いに来るって出たから、いてもたってもいられなくてね」
「っ!」
ウィンクするココに瑞貴は顔が赤くなるのを感じた。普通ならキザとか思ってしまうような台詞も行動も、ココがやれば絵になるし納得もできるので不思議である。
駅を出て街に入ったココと瑞貴。この街並みも瑞貴にとっては久しぶりの光景だ。
「「「「「きゃ――っ!!」」」」」
「ウッ!」
「えっ?」
突然聞こえた複数の女性の黄色い悲鳴。その声にココは肩を震わして瑞貴はキョトンとしながら振り向くと、たくさんの女性がこちらに向かって駆け寄って来る。
「ココ様〜! 私を占ってくださ〜い!」
「ココ様と私の未来を見てー!」
「ちょっとあんた! 何抜け駆けしてんの!」
「ココ様〜!」
「マ、マズい! キーッス!」
〈ア゙ア゙ー!〉
「えっ?」
指笛を吹いたココはキッスを呼ぶと瑞貴を横抱きにして飛び乗った。そのまま上空へ飛ぶキッスにより女性たちはココに占いもしてもらうことなく悲しげに見るだけだった。
「フゥ。ごめんね、瑞貴ちゃん。急にこんなことしてしまって」
「私は大丈夫ですよ。キッスも久しぶり。元気だった?」
〈ア゙ア゙!〉
「それにしても相変わらずモテモテですね」
「……たった一人にはモテないけどね」
「ココさん?」
「いや、なんでもないよ」
ポツリと呟いたココの言葉は、瑞貴には聞こえなかったようだ。首を傾げて問う彼女にココは微笑んで否定する。