特別編
□変わった日常
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癒しの森・ヒールフォレスト。ここに来た者は人間も動物も関係なく心が洗われると言われている。主に観光として用いられているのだが、奥の入り組んでいる場所では一軒の家が建っていた。
「フゥ〜。落ち着く〜」
ベランダと外の木を繋げたハンモックを吊して寝転がっているのは、この家の主・瑞貴。つい昨日寄付活動から帰って来て、現在はしばしの休暇を堪能していた。
木漏れ日の光に心地良いそよ風。まるで眠りを誘うような雰囲気である。夜にグッスリ眠ったつもりだが、やはり心地良さに逆らえるわけもなく、ゆっくりと瞼を閉じると……。
ドンドンドンドン!!
「わみゃ!?」
突如扉を叩く大きな音に否が応でも飛び起きた。ベランダの端から身を乗り出して耳を澄ませると、先ほどまで穏やかだった顔が一気に曇った。
「瑞貴ー! いるんだろー!」
「ト、トリコさん! 叩かなくてもインターフォンがあるから鳴らしてくださいよ! てか、いるって確定ですか!?」
「トリコは鼻が利くからね。それに今までの経験もあって瑞貴ちゃんがいるってわかってるんだよ」
「つか、それってどんだけ瑞貴ん家(チ)に押しかけてんだよ」
「瑞貴ー! 遊びに来たしー!」
「たまにはプライベートで過ごしましょう!」
〈ウォン!〉
〈ア゙ア゙ッ!〉
〈ユーン!〉
〈クルッポー!〉
わかってはいたが扉が叩かれた時点で瑞貴の穏やかな休憩は終わったようだ。あきらめた瑞貴はガックシと肩を落とすのだった。
――とりあえず体が大きいテリーとキッスは中に入れれないのでユンとクルッポーと共に外で遊んでおり、他のみんなを瑞貴はリビングに招き入れてお茶を出した。
「毎度毎度思うんだけど、尋ねるならインターフォンを使ってよ! 家を壊す気!?」
「そんなこと言いながら全然壊れねぇじゃん。どんだけ強い木で作ったんだよ」
「どんな災害にも強いストロングツリーで……って、違う! あんたならいつか壊しかねないんだよ!」
「ああ……トリコさんならありえそうですね」
小松も今までの現状を見ているせいか、トリコではなく瑞貴の味方をした。
「あれを毎回やっているのかい? 品が無さ過ぎるよ」
「(ホ)ンット、全然美(ツク)しくねーな」
「力強いトリコもステキだしー!」
「いやいや、そうじゃないでしょ」
他も瑞貴に賛成したり、またはトリコに賛成(ある意味例外)もいるが、全員集合してきた理由が瑞貴にはわからなかった。今日は特に約束もしていないし、ハントに行くなら速攻で準備しろとかトリコが言いそうなものだが。