BOOK MHA/HQ

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放課後にマイク先生に放課後資料作りの手伝いを任命された
日直とかだっているのに、何で私なのか
聞けば 俺の推しリスナー だから
前にも聞いたな、この言葉


「気を付けて帰れよー」


職員室をあとにして、下駄箱に向かう中
目立つ赤色を発見
あれは、出久のクラスの……
えっと、何だっけ…


『あ、切島くんだ!』


浮かんだ名前に、両手をぽんと叩けば
少し先にいた切島くんが振り向いてしまった
声が大きかったか、恥ずかしい


「俺のこと呼んだ?緑谷妹だよな」

『名前が中々思い出せなくて、ようやく思い出したら、思いのほか大きい声が出ちゃって』


豪快に笑う切島くんに、釣られて私も笑う
今日はかっちゃんは一緒じゃないのかな?
切島くんの視線が、私から後ろの方に向いて
ヤバいと思った瞬間


「こんな時間に何してやがんだ、ブス」


頭をがしりと掴まれた
かっちゃんは手も大きいし、力も強いから指先だけしか力入れてないのに
だいぶ痛い!いや、ホント!マジで痛いから!!

ようやくかっちゃんが満足したのか、手を放してもらったんだけど
その場にうずくまるほど痛いよ
ばか、かっちゃんのばか、乱暴者


「大丈夫か?おい爆豪涙目んなってんじゃねぇか」


うずくまる私の顔を、同じくうずくまって覗きこむ黄色い人
私より先に立って、手を差し出してくれたから
その手に自分の手を重ねれば、よっこいしょって引き上げてくれたんだけど


『わっ!』

「あ、わりー、思いのほか軽かった」


力が強すぎて、そのまま彼にぶつかる
お、やっこい


「どんくせぇな」

『かっちゃん今日は絶好調で意地悪だね』


鼻で笑うかっちゃんに、苦言をこぼし
黄色い人から離れようとしたんだけど
え、何で抱きつれてるの?


「何かいいサイズ。こう、すっぽり覆えるというか、何というか」

『いや、初対面で抱きつれてる私の心境を考えてください』

「え?覚えてない?俺初対面じゃないよ」


え?こんな黄色い人、知り合いにいたっけ?
見上げた先にある顔をマジマジと見つめて、記憶の中から情報を引き出すけど
思い当たらない


「おい爆豪、緑谷妹大丈夫か?そのうち誰かに騙されんじゃねぇの?」

「痛い目みれば、その能天気もちったぁマシになるかもな」

『うそ!騙された!?ひどい!もう、はーなーしーてー』

「ごめんごめん。爆豪のクラスメイトの 上鳴電気。電気くんって呼んでいいよ」


チャラいな、なんか、こう、空気が
ようやく放してもらって、ちょっと距離をとる
自然と4人で下駄箱に向い、靴を履きかえ
家に帰ろうとしたんだけど


「お前、口に塗る奴、なんか持ってるか?」

『リップ?あるけど』

「お前が使ってるベタベタしてるやつじゃねーやつな」

『グロスリップね、違うのもあるよ。あー、でも……』


かっちゃんの唇は、すでに割れてて、血がにじんでる
ワセリン、家に置いてきちゃったんだよね
アレでもいいけど、匂い、大丈夫かな?


『これ、すごいいいやつなんだけど、匂い大丈夫?』


甘いのは嫌いだけど、柑橘系だから、かっちゃんも大丈夫だと思いたいけど
匂い、敏感なんだよな、かっちゃん


「今度はもっとマシなの持ってろや」


今日は我慢してやる、って事かな?


『ちょっと屈んで、これ指先で塗るやつだから』


そう言えば、黙って少し屈んでくれて
ちょいちょいと、傷にあんまり触れないように塗っていく
んーぱ して


「おい爆豪、お前緑谷妹と付き合ってんのか?」

「はぁ?俺がこんなデブでブスなやつと付き合うかよ」

「でも、リップ塗ってもらうってなかなかないぜ」


あーたしかに、なかなかやらないかも
でも出久とかっちゃんは、何か家族みたいなもんだし
スキンシップも多いし、気にならないんだけどな


「ねぇ、俺にも塗ってよ」

「こんの、あほづらぁぁぁ!ふざけんなぁぁぁ!!」


ボンボンと両手を爆発させるかっちゃんに、それを上手に交わす上鳴くん
上鳴くん、やりおるな


『普段からあの二人ってあんな感じ?』

「まぁ、あんな感じだな」


へー、かっちゃんも普通の友達ができてよかったね




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