BOOK MHA/HQ

□03
1ページ/1ページ

合格は一番にかっちゃんにメールで報告をした
普通科とヒーロー科は査定日数が違うのか


「俺にはまだ来てねぇのに!!このブス!」


と荒々しい返信が来て笑ってしまった
2日遅れで来た出久へのUAからの封筒
部屋で見るね、と出久の部屋のドアが閉まり
お母さんと二人で、そのドアを見つめる
ドキドキが止まらない


「うううううううう、受かってた!!」


ドアが勢いよく開いたと思ったら
目にいっぱいの涙をためて、出久が飛び出して来て
私も受かってた!内緒にしててごめん!と軽く謝っておいた
今日はお祝いだーーとお母さんもテンションMAX

そして入学式当日
首席入学がヒーロー科のかっちゃんだって先生から聞いて
やっぱりかっちゃんは凄い

学校の説明とか、教材の配布が終わって
普通科はこれで終わりなんだけど、ヒーロー科はすでに校庭でなんか楽しそうな事してる
あ、イレイザーヘッドが担任なんだ
出久きっとテンション上がってるんだろうな

みんなバラバラと帰る中、教室から出久を見るけど
あれ、何か手怪我した?動きが鈍いし
何か、右手の指先、痛い気がする

私と出久は双子
出久に聞いた事はないけれど、私はなんとなく出久の事が分かる
それは考えてる事がわかるとかじゃなくて
怪我した時とか、体調悪い時とか、落ち込んでる時とか
それを一回医者に相談した事があったけど


「双子の神秘。個性ではない」


と断言され、やっぱり私は無個性と再認識した事があった
担任の先生に、早く帰れと言われ、もっと見ていたいけれど
しぶしぶ自分の荷物を持って、家に帰った


『おかえり出久。今日校庭で楽しそうなことしてたね』

「え、見てたの?」

『見えたの。普通科は学校の説明と、教材配布で終わったし』

「なんか恥ずかしいな。みんなすごい個性の人ばっかだったよ」


しかもかっちゃんと同じクラスだったらしい
高校で幼稚園から積み上げて来た、かっちゃんへのコンプレックスも
少しはなくなるといいけど


『手、怪我したでしょ。何か右手の指先痛かったもん』

「やった後で、これ出流にバレちゃうな、って思った」

『無茶もいいけど、心配はするんだからね』


ふざけて、オールマイトチョップ!と出久の頭を叩いたら
そこは違う、角度はこう、その時の技名は
とか何だかオタク魂を呼び起こしてしまって、そうそうに離脱した


『かっちゃん、出久と同じクラスだってね』

「うるせぇ!だからなんだってんだ!」

『私も同じクラスが良かった』


ぽつりと呟いた言葉に
かっちゃんが息をのんだのが分かる
たまに出る、ネガティブな部分だ
出久に吐き出すと、私以上に泣きだしそうな顔するし
お母さんは確実に泣くから

弱音も全部吹き飛ばしてくれるかっちゃんに、たまに吐き出すことにしてる


「お前に 個性 ねぇだろ」

『うん。だけど、同じクラスだったら、楽しいだろうなって思うよ』

「楽しかねぇよ、あんな糞クラス」

『個性、あったら一緒のクラスにいられたかな』


部屋のベットで寝転がりながらの会話
これ一緒にいたら、絶対頭ぶたれてる


「お前に個性があっても、お前と同じクラスにはなんねぇよ」

『そ……か』


昔から、ブス、デブ、弱い、無個性、最底辺
他にも色々言われてきたけど
もしかして私、嫌われてたのかな?
出久の事も嫌いだし、あれ?私って、すっごい面倒な女だったのかも


「おいブス。てめぇ勘違いしてんだろ。お前が危ねぇ時は俺が助けてやるっつってんだ。わざわざヒーローになんかんる必要はねぇだろ」


なんだ、そう言う事か


『昔からかっちゃんは私の最高のヒーローだ』


うるせぇ!デブ!と電話を切られて
ちょっと胸につっかえていたものが無くなった気がする
かっちゃんのツンデレも最早慣れたものだ


「かっちゃんと電話?」

『あ、聞こえちゃった?』

「かっちゃん声大きいから。今頃おばさんに怒られてるよ」

『だね』




.
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ