BOOK MHA/HQ

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試験は普通に筆記試験に面接
多くの先生がヒーロー科の試験に臨む中
こっちに割り当てられてる先生は少ない


「貴方はなぜ我が校を志望しましたか」

『はい。私は 無個性 です。この超人社会をどう自分なりに生きていくか、悩んだ時期もあります。自分の 無個性 という可能性を認めて、自分の見解を広げてくれるのに、一番ふさわしいと思ったのが 雄英高校だと思い、貴校を志願いたしました』


手ごたえとか、全然分からないけど
試験の出来は悪くないだろうし
中々帰ってこない出久を、家で待っているけれど
抜け殻のような出久が帰って来て
ひたすら自分の部屋に閉じこもって、たぶんオールマイトの動画を見てる
これはひょっとして


『お母さん。出久落ちたのかな?』

「どうなんだろうね、聞くに聞けないよねぇ」

『出久が雄英行かないなら、私も他に行こうかな』

「出流は出久とは違うんだから、同じじゃなくてもいいんだからね」


そうお母さんは言ったけど、私だけ雄英行くのも
何かヤダな
もやもやしたまま、私たちは試験の合否の発表を待った


とはいえ、私だって受かってる保証はないし
受かっても受からなくても、高校は行かなくちゃいけないし
体だって、サボったらすぐ動けなくなるから
朝からいつも通り、ランニングに出る
人もまばらな早朝、このコース、時間もぴったり


『かっちゃん、おはよう』

「デブか」

『まだ試験の結果、来ないね』


そう、このランニングコースは、たまにかっちゃんに会う
周6で走ってる私と違って、1日置きとか会うけど
多分あえて、このコースを1日置きで走りに来てるんだと思う
かっちゃんの家から少し遠いし、毎回一緒に走るのも嫌なんだろうな


「お前普通科だろ。体鍛える必要ねーだろ」

『もう癖みたいなもんだよ。かっちゃんが、唯一認めてくれてる部分だし』


かっちゃんは周りに誰かいる時は、文句ばっかり言うんだけど
二人になると結構優しいし、気を使ってくれる
今だって、私のペースに合わせて走ってくれるし
チラチラとこっちを気にしてる


『かっちゃんは絶対ヒーロー科受かるでしょ。ヒーローになって、インタビューとかされるとき、ファン第一号は私だって、ちゃんと言ってよね』

「ハッ!忘れてなかったらな」


私の家に行く方と、かっちゃんの家に行く方の分かれ道
右と左に曲がる瞬間、かっちゃんは絶対頭を撫でる
撫でるより、頭を揺らすみたいな乱暴な感じだけど
身長だって、ぐんぐん伸びて、もう見上げないと見えない
高校入って、距離開くのは嫌だな


「出流ちゃん、出流ちゃん、出流ちゃん」

『お母さん落ち着いて。どうしたの?』

「こここここここれ、来てたの」


お母さんが握りしめて、ちょっとぐしゃぐしゃになった封筒
そこにはUAの独特なロゴの割印
深呼吸を1つして、ゆっくりとお母さんから受け取る


『出久のは?まだ?』


コクコクと頷くお母さんに、出久にはまだ内緒にしておいて
私のお願いに、またコクコク頷くお母さん
自分の部屋に入って、ゆっくりと封を開ける
中にはホログラムが入っていて
スイッチを入れた

しょっぱな筋肉ゴリゴリのオールマイトのドアップに
とっさにホログラムを止めてしまった
深呼吸を2回して、再度ホログラムをつける


「合格だ!!」


その言葉をかみしめ、小さくガッツポーズをする
出久、私は受かったよ
次は出久の番だよ




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