BOOK 松

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気まぐれに甘くておいしいコーヒーが飲みたくなって
スタバァに足を向ける
列に並んで、スタッフさんにメニューを貰って
何を飲もうか考える

んー、普段はティーラテだけど、今日はコーヒーの気分
だけど、甘くて、クリームがある奴がいいな
んー、ホワイトモカのトール・・・・・ショート・・・・
いっつもトールだと飲みきれないんだよね
家に帰るだけだし、家に帰れば、兄さんたちも一口ずつ飲んだら
丁度いいかな?
ならグランデとかベンティだよね

お次の方どうぞー

その声に、メニューから顔をあげスタッフさんを見れば
そこには見慣れた顔が


『え、兄さん?』


あ、まずった
めっちゃ怒った顔してる、やば・・・


「えー、トッティの妹さん?可愛いじゃん」

『兄がお世話になってます』

「やっぱり妹さんもトッティみたいに頭いいの?トッティ頭いい大学だもんね」


あー納得、これはアレか
分かった、お兄ちゃんの素性をばらさないよう
株を上げればいいんだな


『私、兄さんみたいに頭よくないけど、高校の時はテストのたんび、兄に頼りきりでした』

6「いいよそんな話、それで、決まったの?」

『あー、これってさ甘いんだよね?』


上手くメニューを立てて、手元を隠し
こっそり千円札をトド松兄さんに渡す


6「うん甘いし、美味しいよ」

『サイズはショートとトールどっちにしよう』

6「トールにしなよ。これホント美味しいから」

『じゃあホットのトールで』

6「ランプの下で待ってて、クリームも多めで頼んであげるから」

『お金』

6「僕のおごりでいいよ」

「トッティ優しーね」


よし、これでいいでしょう
そしてこのスタバァにはもう二度と来ない
こんなドライモンスターの巣窟は早急に立ち去るのが1番


6「はい、飲み歩きは危ないから、ちゃんと前見て帰るんだよ」


可愛くはーーい
なんて返事をして、足早に家を目指す
うん、クリーム多めで甘いし、美味しい


『母さん兄さんたちは?』

「さぁ、どっか出かけたわよ」

『ふーん、あ、コレスタバァのコーヒー美味しいから飲んでみて!』

「あら、確かに美味しいわ。お母さんあぁいうところ行かないけど、今度一緒に行きましょうか」

『うん!』


大きめで正解
久しぶりに母さんとまったりお茶会出来たし
うるさい兄さんたちがいないから
平和でいいね
お母さん秘蔵のお菓子も二人で食べて
ご機嫌ご機嫌


6「ねぇ、なんで兄さんたちにバイトしてる事言ったの?」

『え?』

6「ホント酷いよねーーお店では、僕の株を上げるような事言っておいて、兄さんたちにバラすとかありえないんだけど。結局兄さんたちに弱み握られて、バイトも辞める羽目になったし、もう最悪。なんでさ松理スタバァ来たの?なんでこんなのが僕の妹なの?こんな妹いなくなっちゃえばいいのに。自分一人だけバイトして、僕より上に立って優越感に浸ってるの?だからバイト始めた僕に嫌がらせしたんだ、あーーホント、最低。死ねばいいのに」


兄さんたちがみんなで帰ってきて
トド松兄さんだけ沈んだ雰囲気だから、どうしたんだろうと見てたら
手を洗いに他の兄さんがいなくなった瞬間
文句の嵐だ


6「僕の前から消えちゃえばいい」


とっさに、財布の入ったカバンを持って
家を出た
気分が良かったからなおさら、今はすごく気分が悪い
なんで私があんな風に言われなくちゃいけない?
私が何したって言うんだ

優越感に浸ってる
トド松兄さんは、私をそう言うふうに見てたんだ
あー、イライラする

立ち寄ったコンビニでタバコを買って
出てすぐ火をつける
タバコはカラ松兄さんと吸わないって約束したけど
もう、今は無理
イライラして死にそう

しかもケータイはテーブルの置きっぱなしで
鞄だけ掴んできたから
友達に連絡も出来ないし
あー、もうホント、最悪だよ
それだけは認める

あー家に帰りにくいし、顔見たくないとか言われたの初めてで凹む
あー凹むし、ムカつくし
家族だからって、言って良い事と悪い事があるよね!
あーもう今日は家に帰んない!





*




2「機嫌が悪いなトド松」

6「べっつにー、どっかの兄さんに僕の計画全部パーにされたからね」

1「俺たちに隠れてバイトなんかするからだろー」

6「なんで松理も兄さんたちに告げ口したんだか、ホント信じらんない。ホント最低」

3「なんでそこで松理が出てくるんだよ。松理もトド松がバイトしてたの知ってたのか?」

6「知ってるも何も、バイトの事兄さんたちにバラしたの松理でしょ!!」

2「いや俺たちは、十四松に教えてもらったんだが」

5「うん!俺がトド松見つけて兄さんたちに教えてあげたんだーー!」

4「そういや松理どこ行ったの?さっきまでいたよね?」


サァと血の気が引いた
え?マジで?松理がバイト先を兄さんたちに教えたんじゃない
って事は

すぐさま自分のスマホから、松理に電話を掛ける
ブーブー聞こえる音に、台所のテーブルを見れば
松理のケータイがあって
あいつ、ケータイも持たずに家とびだしたのかよ!
慌てて玄関まで走って、スニーカーに足を突っ込む

わらわら集まる兄さんたちに、事情を説明する余裕はないけど
僕の肩を抑える一松兄さんの目が
言うまで行かせないって言ってるみたいで

松理に言った言葉全部、兄さんたちに伝えた




松野家、末妹の災難M

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