BOOK 松

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夜中に目が覚めた
目元をぬぐえば、指先が濡れる感覚
何の夢を見てたんだろう
覚えていないけど
きっと、嫌な夢だ
こんな夜中に泣きながら目が覚める何て

息を吐いて、目を閉じるも
眠れる気配がない、明日もバイトだから寝たいんだけど

足先からじわじわと冷えていくような感覚に
自分自身で怖くなる

音を立てずに部屋を抜け出して
兄さんたちが寝ている部屋の前
襖の向こうでは、兄さんたちが寝ている
廊下でその寝息とかイビキとか聞いてるだけでも
さっきより、怖くない

入るに入れないで悩む
壁に背中を預け、体育座りをして
顔をうずめる


4「こんな時間に、何」


ビクリと体がはねた
一番廊下に近い場所に寝ている一松兄さんを起こしちゃったらしい


『ご、め…・・・部屋、もど、る』


泣いてて、うまく話せないけど
ちゃんと言葉にはなってたはず
戻ると言った言葉とは裏腹に、体は動いてくれない
兄さんの返事もない
静かに襖があいて、目の前にしゃがみこむ兄さんの気配
ぽすぽす と頭に乱暴に手が乗せられて
下げていた頭を上げる


4「怖い夢でも見たの?」

『お、ぼえてない、けど』


じわじわ流れる涙を、ぐいぐい拭われて
腕を引かれれば、兄さんに抱っこされた


4「カラ松、そっちつめろ」

2「んあっ!##name1##か、めずらしいな、何泣いてんだ?兄ちゃんがいるぞ〜」

4「寝ぼけんなクソ松」


カラ松兄さんが少し詰めてくれて
カラ松兄さんと一松兄さんに挟まれる


『一松にいさん、布団』

4「お前は気にしなくていい」


でも、といえば
一松兄さんに背中から抱きしめられて
兄さんごとカラ松兄さんの方へ寄る


4「これでいいでしょ、ほら寝なよ」

2「子守歌でも歌おうか」

4「ダマレ」


一松兄さんに背中を撫でられて、カラ松兄さんに頭を撫でられて
さっきまで冷えてたつま先が、じんわり温まっていく

さっきまで、全然眠れなかったのに
もうすでに、眠くなってきてる


4「体も足も冷えてるね、冷たい」

2「指先もな。手つないでてやろうか」


冗談で言うカラ松兄さんに片手を伸ばせば
笑って、てをつないでくれた
一松兄さんも、さっきより抱きしめる力が強くて
なんか、安心する


4「寝た?」

2「あぁ、寝たな。一松ももう寝ような」

4「ん」



*


寝返りをうとうと、体を動かすけど
中々動けない
瞼を持ち上げれば
目の前には、カラ松兄さん
あ、そっか、昨日お邪魔したんだった

ずっと手をつないで手くれたのか、カラ松兄さんの手は
未だに私の手を握ったまま
一松兄さんも、右手ががっちりと私の体を抱き寄せたまま
二人の兄さんに挟まれてるこの状況が
なんだかとてもくすぐったい

一度目を閉じて
ゆっくり目を開ける


『っ!!!!!!!』


カラ松兄さんの寝顔が、変わらず見えると思ったんだけど
そこには、猫目でむすっとした十四松兄さん

どう反応していいか分からず、一松兄さんの方へ体を寄せれば
しゅばっ! と私とカラ松兄さんの間に体を滑り込ませた


5「僕も一緒に寝たかった!!!」


兄たちを起こさないように、小さい声で抗議する十四松兄さん
寝巻の袖で、ほっぺたをぐにぐにされる
二人分のスペースに、横向きで4人が入れば
狭いけれど、たまにはいいかもしれない


『じゃあ今から一緒に寝よう』


十四松兄さんに、ふふっと笑い返せば
にぱり と笑ってくれて
開いてる片手で十四松兄さんと手をつないだ


5「おやすみ松理」

『おやすみなさい、十四松兄さん



*


1「なにこの状況」

6「パシャパシャパシャパシャ、僕も一緒に寝たいのに、入る隙間ないし!」

3「騒ぐと起きちゃうから、二人とも静かにしなよ」

245「『ぐーーーーーーーーー』」

1「可愛い顔して寝ちゃって、トド松、今の写メ俺にも送っておいてね」

3「あ、僕にも」

6「りょーかい」




松野家、末妹の災難H


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