BOOK 鹿

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熱がある……きがする
あくまで気がするだけなんだけど

寒気より、体が熱くて
ちょっとダルイ
きっと熱を測ったら、ちょっとヤバめな数字が出るんだろうけど
知らないふりしておく


「わけねーだろ」

『ですよね』


珍しく店の入り口から入ってきたシカマル
眉間にしわ寄せて、どうしたのかなーと思ったら
勢いよくカーテンを引き、鍵を閉め
勝手に臨時休業の看板を出したと思ったら
抱きかかえられて、強制的に奈良家に拉致られた


「ほら、薬」

『いらない』

「いいから飲め」


熱を計らなくても、微熱でおさまらない熱が出ているのは自覚している
けど
正直に言えば、私、薬って大嫌い


「いい加減薬嫌い直せっての」

『それができたら苦労はしない』


薬ってどう頑張っても苦いんだよ
効く薬ほど苦いんだよ
粉なんてもってのほかだよ


「体辛いだろ」

『でも薬は嫌』

「親父が帰ってくる前に、大人しく飲んだ方が利口だと思うけど」


そうなのだ
シカクさんには、小さいころから薬嫌いを怒られてきて
何度も影で縛られ、無理やり薬を飲んできた
しかもだ、普段穏やかだけど、こーいう時だけ、めちゃ怖い


『そうだ、家に帰ろう』


シカマルのベットに強制てきに寝かされ
上に掛けられた布団跳ねよけようとして、見事シカマルに阻止された


「ダメに決まってんだろ」


大人しくしてろ、薬飲め、んで寝ろ
シカマル、どんどんシカクさんに似てきた
怒った時の雰囲気なんかそっくりだ

はぁ、とため息を吐き
手を差し出せば、何も言わず薬が渡された
続いて水をわたされ、ごくりと飲む


「今日はここで寝ていいから」

『シカマルは?』

「床に布団ひく」


実を言えば、この会話は何度も繰り返して会話だ
体調を崩すたび、うまく隠してるつもりでも
シカマルにはなぜかバレる

一人にしたら、悪化した時対処できないと
シカマルのベットで寝るのも、昔からのお決まり

次に目が覚めた時、深夜だろうが、昼間だろうが
必ずシカマルは起きていて、水飲むか?飯、食えるか?
と心配してくれる

それってさ、私だけの特権?
それとも、他の女の子にも、同じようなことしてる?
何度も聞こうと思って、結局聞けない言葉

今回もまた、言えないんだろうな




『(ねぇ、シカマル。これって私だけ?)』

「(お前にしか、こんなめんどくせー事しねぇの気付いてねぇんだろうな)」


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