BOOK 鹿

□08
1ページ/1ページ

無事に任務をやり遂げ、家に帰ったら
シカクさんが良くやった!と褒めてくれて
シカマルも、お疲れさんって褒めてくれた
自分自身成長した気分で、いたんだけど


「見つけました!ナギさん!ぜひ僕のお屋敷の専属契約をしてください!」


湯の国の富豪の次期当主に、何でか気に入られてしまって
木の葉までおっかけてきた
店にもくるし、少しでも外に出れば、声をかけて近づいてくる
私的にはホントにそれがストレスで
シカクさんに相談しても、どうにもうまく手が回せないらしい


『もうヤダ、外でたくない』


そう嘆いても、どうにもならないし
そんな事で、仕事を休むのも嫌だ
幸い、仕事中にお店に来る事がない事が唯一の救いかもしれない


「ナギさん」


職場から奈良家に帰る途中、腕をつかまれ振り向けば
彼がいて、体に力が入る


「明日の朝、僕はこの里を出ます。ぜひ貴方にはついてきてほしいのです」

『わ、私はこの里を出るつもりはありません、専属の話も、何度もお断りしてますよね』


一瞬悲しそうに顔がゆがんだと思ったら
にっこりとほほ笑んで
最悪の言葉をはいた


「なら、無理やりにでも連れていくまでです」


数人の男に囲まれて、それが忍だっていうのは理解した
ケガはさせるな と命令が下って、忍の一人が手を組む
逃げなくちゃと走り出しても、一般人、もしかしたら一般人以下の私が逃げられるはずもなく
簡単につかまった
意識がぐらぐらしていて、立っていられない
目の前が真っ暗で、上がどっちで、下がどっちかもわからないほど
自分が揺れている感じがする


「さぁ、僕と一緒に家に帰ろう」


嫌なのに、声がでなくて
気持ちわるいほど優しい声が、全身をなでる


「すぐに帰る準備をしろ。急げ」

「ナギ、ゆっくり眠るといいよ、起きたら僕の家についてるだろうからね」

「これからはずっと一緒にいられるね」



額に、ちゅっとキスをされて、今度は右頬
首筋にもキスをされて、吐き気がするほど気持ち悪いのに
声もでなければ、指1本も動かせない

意識が闇に飲まれる瞬間
思い浮かんだのは、シカマルだった


『(助けて、シカマル)』





「木の葉にばれると色々面倒だ、準備が出来次第、国に戻る」

「はっ、準備は整っております」

「よし、なら行こうか」

「ナギ、これで君は僕のものだ」






「ちょっと待てよ

誰が誰のものだって?全員動くなっつっても、もう動けねーだろうけどな」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ