BOOK 鹿

□02
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頼まれた薬を調合し終わって
一旦それを、横に設置した回収OKの箱に入れ
どうせなら、もう少し多めに作っておくか
と手を伸ばしたところで
視界が真っ暗になった


『シカマル?何してんの?』

「ナギお前、今何しようとした?」

『薬の調合?』

「はぁ……お前はもう終わり。何時間ぶっ通しでやりゃ気が済むんだ」


視界を覆うシカマルの手が離れ
周りを見るが、誰もいなかった、いつの間に
壁にある大きな時計を見れば、夜9時をさしていて
確かにみんな上がってる時間帯だわ


「ほら行くぞ」

『んー、今調子いいから、もう少し』

「何、お前俺怒らせたいのか?」


だいたい、調子悪い時なんかねぇだろうが!
と俵のように担ぎ上げられた
シカマルは怒るとめっちゃ怖い
過去に数回、シカマルが任務でいないのをいいことに
2日ほどぶっ通しで調合に没頭し
帰ってきたシカマルに大目玉を食らった時
蛇に睨まれたカエルの気持ちがよくわかった


「ナギ、ちゃんと飯食えって言ってんだろ。軽過ぎ」

『普段はちゃんと食べてるって』

「どーだかな」


担いだまま運ばれた先は、奈良家のリビングで
食卓の上には、美味しそうな料理が並んでいる


『あ、いちご大福!!』


シカマルに投げるように落とされ、腰が痛いけど
食卓の中央にあるいちご大福が目に入り
反射的に手を伸ばせば


「飯が先だって、何回言えば理解すんだ。このバカナギ」


とシカマルに怒られた
ぶーぶー文句を言おうにも、普通の喧嘩でも口喧嘩でもシカマルに勝てない私は
そのまま大人しく手を下げた
ガハハと豪快に笑うシカクさんに、ヨシノさんが揃って
みんなで いただきます を言って、料理に手を伸ばす


「ナギ、なにその飯の量。そのへんのガキでももっと食うだろ」

『えー、平均的な女性の食べる量だと思うけど』

「もっと食え」

『いちご大福食べれなくなる!』


お茶碗の3分の1のご飯に、半分ほどの味噌汁
おかずは、まぁまぁ食べてるし、体を動かす仕事じゃないから
そんなに食べなくても大丈夫なんだけどな


「ナギちゃん今日は助かったわ、ありがとう」

『いいんですよヨシノさん。それぐらいしか能がないんですから』


小さい時から、外に出るより家で本を読むのが好きだった
薬草の香りが好きだった
だからか、友達は極端に少ない
小さい頃はシカマルとか、いの、チョウジと4人で遊んだけど
忍になった3人にはほとんど会えないのが現実


「明日は1日お休みあげるから、出かけておいで」


そう言われても、行くとこないし、欲しいものないし
いちご大福は、これから食べるしな


『(ま、普通にお店開けてしごとしよ)』

「(こいつ、ぜってー明日店開ける気だな)」




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