BOOK 十六夜

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木々の枝を足場に、風をきる
狼の面に、黒いマント
木の葉の里暗部の衣装

長期任務を終え、木の葉の里に戻る最中
人の気配に足を止める
深夜と言うより、明け方に近い時間に
森の中にある複数の気配


『(敵か…)』


気配を消し、足音を消し近付く
黒い忍服に、横一線


『(抜け忍…)』


木の葉のマークをつけた忍びが3人
その3人が庇うように護っているのは、一般人かな


『(口寄せ)』


大きめの狼を1匹だし、彼らに向かわせる
急に出てきた狼は、仲間も敵も、両方の動きを一瞬だけ止めた
狼を見た木の葉の忍びの一人が、視線を上げ、眼が合う


『(元暗部の…)』


まず先に、敵倒そう
と腰に付けていたチャクラ刀を抜き、相手を次々に倒していく
中忍程度が多いせいか、手ごたえもなく敵の数は減って
最後の一人になった


『目的ぐらい聞いといてあげてもいいけど』

「くそっ、木の葉の犬が」

『犬じゃなくて、狼ね』


口を閉ざしたと思ったら、懐に隠し持っていて起爆札で自殺された
目的ききそびれちゃった
私の任務じゃないし、関係ない、関係ない


「助かったよ」


木の葉の忍達の元に戻り、狼を呼び戻せば
あの人が、ひらひらと手を振った
暗部の時は見れなかったけど、あんな顔してるんだ
右目だけしかみれないけど
同じようにひらひら手を振り返し、私は一足先に木の葉の里に戻った






「何だったんだってばよ、今の人」

「あぁ、あれはね、木の葉の暗部の人だね。任務帰りに、助けてくれたんだろ」


狙われた負傷者をおんぶしながら走り
先程の事に声を上げるナルトに答えれば
ちょー強かった!
とさらに声を上げた
そりゃそうだ、なんたってあの人は


「そりゃ強いよ、俺の先輩だもん」


とにっこり笑って教えてやった
まだ、暗部にいたんだ






『火影様、暗部十六夜戻りまして……って、あれ?』

「3代目から話は聞いている、長期の討伐任務だったな。ご苦労」

『3代目は…』

「噂ぐらいは耳に入っているだろう、大蛇丸の木の葉崩しの時にな…」

『そうですか。それは残念です』


報告書を出しにいったら、3代目ではなく、5代目火影がいて
木の葉崩しで、3代目がなくなったと知った
木の葉崩しは知ってたけど、まさか3代目が亡くなるなんて
そうは言っても、忍の性か涙は出なかった


「十六夜と言ったな、3代目から最後の辞令がある」


床に跪き、頭をたれる
床につけた拳に、ぎゅっと力が入る
3代目はこの任務を受けた時言っていた
そろそろ、闇から出てもいい頃だ、と


「明日から暗部を抜け、上忍としてこの里の為に働くがよい」


以上!
と朗らかに言う5代目に、御意と短く返事をした
もう、面を取ってもいいのか
と馴染んだ狼の面を取り、マントも脱いだ


「新しい名前がいるな」

『いいえ、もう3代目からいただいてるんです』

「そうか、その名は」

『##NAME2## ナギ』


任務に出る前、3代目からもらった名前
今日から私は十六夜ではなく

ナギ

として生きる



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