BOOK NARUTO

□05
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「ナギ、朝だからそろそろ起きて」

『ぅ…ん……』

「ご飯作ったから、食べよう」


頭を撫でる大きな手
ゆっくりと浮上する意識に、あれ、これ私のベットじゃない
と瞼を開ければ、眼を細めて笑うカカシさんがいて
そっか、カカシさんの家に住むんだっけ
と昨日の事を思い出した

先に行ってるからね
と遠ざかる背中を見ながら
ぼーっとする頭でベットから降りようと足を延ばす


『んにゃっ…』


べちゃ と音がして足元が崩れました
クスクスと笑いながらカカシさんが目の前にしゃがんで
大丈夫?って首をかしげる


『ベット……高い…』


いつもの同じように足を延ばしたら、床に足がつかなくて
フラついただけ


「そのうち慣れるよ」


と乱れた髪をなでられた
食事を終えて、片付けをして
よし!と意気込むカカシさんは私にぽいぽい服を投げる


「着替えたらでかけよう」


渡された服を着て、リビングに戻ると
カカシさんは読んでいた本を閉じ、玄関へ歩きだす


『どこに行くんですか?』

「まずは髪の毛切ろう、その長さはさすがに邪魔でしょ」

『あ、はい』


地面につかないようにまとめてはいるが
今までのスローライフならまだしも、流石に邪魔
髪の毛を背中の中ほどまで切ってもらった

そこに現れた1羽の雀


『カカシさん』

「はぁーそうだね、4代目が呼んでるみたいだね」

『じゃあ、私家に帰ってますね』


そう言えば
ナギも呼び出しだよ
と抱きあげられ、あっという間に火影様の部屋の前
軽い挨拶で室内へ入った私たちだけど
火影様の表情を見て、とっさにカカシさんの後ろへ隠れた
だって、何かめっちゃ険悪な空気が流れてる


「ナギちゃん、隠れたってしょうがないでしょーよ」

『でも、だって、何かすごい空気悪いです?』

「ナギちゃん、そこ座って。カカシも」


そう言われて、おとなしくカカシさんと二人ソファーに座る
昨日とは違って、ちょっと真面目4代目に
少しだけ不安になる


「なんかねー、ナギちゃんの家、あちらこちらに貴重な薬草があって、しかも棚や壁に根付いてどうにも動かせないものもが多くて、管理するならきちんとしろ!ってさっき怒られちゃったんだよね」

『す、すみません……』


あ、私の代わりに4代目が怒られてくれたんだ
それで、この何とも言えない空気なのね
確かに、壁や棚に根付いてどうにもできなくて
そのまま育てちゃったやつもあるけど
そんなに、怒らなくたっていいのに

無意識にカカシさんの服を握っていたらしく
その手にカカシさんの手が重なる


「ナギチャンってまだ忍でいいんだよね」

『7年間の間で、資格剝脱されていなければ、そうなりますかね?』

「なら良かった。4代目火影の名において、ナギちゃんに薬草の管理、兵糧丸作成の任を命じます!」

『……え?』

「家ごと薬草園の端に移してあるから、今まで同様管理よろしくね」


はー、これで伝言は全部ねー
と肩の力を抜いた4代目は、深く椅子に座りなおす

ヤマトさんに渡してあった鍵を、カカシさんが4代目様から返してもらって
薬草園の端の端まで私の腕を引っ張って歩き出す


『家ごと…移住?』

「そうみたいだね」


そこには見慣れた我が家があって
その周りの畑も同じような配置になっていて
おそるおそる鍵を開け家の中に入る
見渡せば、中の配置も全て同じで
多分、方角的にも同じになってるきがする


流石に水道は出ないだろうと、蛇口をひねれば
うん、出ちゃった、水…
電気は、お手製兵糧丸で賄えるから、水さえあれば生活できちゃうじゃんか


『カカシさ…』

「ダメに決まってるでーしょ」

『まだ、何も言ってません』

「どうせ、ここに住みます。とか言い出すんでしょ。許可しないよ」


カカシさんの許可、いらないと思うんだけど
と心の中で呟けば、にっこり笑ったカカシさんが迫って来て
つい、1歩下がる


「悪い子にはお仕置きが必要かな?」


背中が壁にあたって、どうしようと考えていれば
すぐさまカカシさんの両手に挟まれた
壁ドン…これが今流行りのか…
なんて見当違いの事を考えながら、おそるおそる見上げれば


「ナギちゃんの帰る家はどこ?」

『…』

「わからないんだ、ふーん」

『カ、カカシさんの家です!』


そのゆっくりした口調に、ぞくりと背筋に悪寒が走る
慌てて訂正すれば、ぱっと手が離れて
そうだよねー、俺の家に帰るんだよねー
といつものカカシさんに戻った

荷物まとめておいで
と背中を押され、大きなカバンに荷物を詰めていく


『カカシさん、少しだけ着替え置いていってもいいですか?』

「何のために?まさか家出用とか?」

『ち、ちがっ』

「許さないよ。ようやく見つけたのに、俺から逃げ出すなんて」


座っていた体がトンと押されて、床に倒れる
見上げた見慣れた天井にカカシさんの顔が視界に入り込む
両手首も、カカシさんの手が床に押さえつけているから、動かすことすらできない


「先輩、まっ昼間から何してるんですか」


カカシさんの後ろに、ヤマトさんの顔がひょっこり見えて
そのゆるい口調に、カカシさんが重いため息を吐き
私の上からどいた


「ヤマト……お前さ」

「いやいや、流石にここじゃダメですよ」

「ナギ」


子供をしかるような口調のカカシさんに
起き上がった背中がピンと伸びる


「理由は、あるんでしょ」

『あ、作業した時汚れたりしたら、着替えたいし、お湯使えるならシャワーとか浴びたいかなって…』


はぁ、とため息を吐いて、いいよとカカシさんは、頭をガシガシかきながら言って
リビングの方へ消えた
ヤマトさんもカカシさんを追ってリビングに行き
影分身2人だし、荷物を詰めるよう言って
二人の後を追った



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