BOOK NARUTO

□04
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『えっと、右端から上・中・下・圧縮したチャクラの量の大きさ順で、色に関しては関係ありません。他のは出来損ないなので、いろんな事に使っちゃってます』


例えば、圧縮したチャクラのエネルギーを、術式を介して電気エネルギーに変えたり
室内の気温を低温に保ったり
あ、ヤマトさんが運んでくれた持ち運び用のケースにも
仕込んであります
とケースの中の術式を見せる


「へーすごい便利。こんな術式、いつの間に」

『7年間、やることがなくて、試しにやってみたら、うまくいきました』


でも兵糧丸は大きな瓶にいっぱいあるからと言って
全部の忍に配布できるわけじゃない
だけど、もし何かの時に使えたら、とコツコツ貯めたの結果が瓶3つ分


無言で黙り込む3人に、焦る
だってさ、自分の長所なんてそのぐらいしかないし
唯一の長所を、捨てきれなかったというか、何というか


『も、もしソレのせいで、面倒事が起きるなら、全部処分しますけど』


そしてもう2度と、作り出しはしない
それを口にしたとたん、べちん!とおでこをぶたれた
しかもぶった相手は火影様だ


「ナギちゃんこれがあれば緊急時、どれほどの忍を救えると思う?緊急事態での医療忍者自身のチャクラ切れもそうだけど、戦闘時でチャクラ切れで死んだ者も少なくないんだよ。隣のカカシも結構チャクラ切れで入院してるし」


自分の浅はかさに、涙が出そうになる
確かにそうだ、忍にとってチャクラ切れは深刻な問題で
そんなこともわからない程、私はぬるい生活を送っていたと思ったら
とたんに、自分が恥ずかしくなる
すみません
と小さな声で謝れば、ぽんぽんと、頭を撫でられた


『カカシさん』

「ナギの兵糧丸は、全ての忍の役にたつものだよ」


わかるでしょ と言われれば、頷くしかなかった


「カカシはナギちゃんの面倒を見てやってね、ヤマトはナギちゃんの家の場所を教えて。明日必要なもの運んじゃおう」


下がっていいよ と言われて
ヤマトさんに家の鍵を渡しておく
着替えとかの私物は、明後日にでも取りに行くとして
薬草を取り出すのなら、渡しておいたほうが作業は捗ると思った


「んじゃ、帰ろっか」


3度目の景色がすごいスピードで流れ
気づけば、カカシさんの家の前
ゆっくり開く扉に、優しく背中を押され中に入る


「ナギ、本当に心配した」

『うん』

「ナギの力を知ってるのは少ないけど、利用される可能性が高い」

『うん』

「最悪のことが、何度もよぎった」

『うん』

「もう、逃げるな」

『……うん』


ぎゅうと後ろから抱きしめられ
耳元に吐息がかかるほど、近くで、声が響く
手を惹かれて、ソファーに座らされてその隣にカカシさんが座る
じっとこっちを見る真っ直ぐな目に、なんだか居心地が悪い


『おちゃ入れます』

「ん、湯呑はこっちで、急須はここ。ヤカンは足元」


茶葉は、と台所の上の棚に手を伸ばし、手渡してくれるカカシさん
受け取って、手際よくお茶の準備
長い髪は、既に邪魔だとも思わなくなったけど
けじめとして、切ってしまおうか


『どうぞ』

「ありがと」


そうテーブルに置けば、マスクを外し湯呑に口を付けるカカシさん
ドキリと心臓がはねるけど、知らない、知らない


『ほ、本当にここで生活するなら、ベットとか着替えとか日用品も持ってこないと』

「着替えと日用品はもってくるとして、ベットはいらないでしょ」

『?え?』

「一緒に寝るんだし」


いや、それはと意見を言おうとして、ぐいと腕を引かれ
その腕の強さに、簡単にカカシさんの胸に倒れ込んでしまう
ぎゅうと抱きつかれて、腕の中から見上げれば
何とも言えない表情のカカシさんがいた


「ダメ、またどっか行っちゃうでしょ#name1##は。だからダメ、絶対ダーメ」


一緒に寝るんだよ
と優しく頭を撫でられたら、もう何も言えなくなる
襲われる心配は…多分、きっとないはず

お風呂の場所や、トイレの場所を教えてもらって
それと同時に、カカシさんがお風呂にお湯をためる
家のお風呂には、ハーブや香りの強い薬草なんかを浮かべたお風呂だったから
何も入れないお風呂がちょっと新鮮


「入浴剤、使う?」

『カカシさんに匂いついちゃうでしょ?だから平気』


私も忍の端くれだけど、所詮下忍
戦闘もほとんど経験したことないし
任務と言っても、迷子の猫を探したり
家の掃除を手伝ったり
草むしりだったり
護衛任務ですら、中々やらなかったなと、過去の自分を思い出して見た


「明日、たぶん忙しくなるから、今日はゆっくり寝なさい」

『まだ寝るには少し早いよ』

「いーの、いーの。お風呂入ってご飯食べて、早めに寝よう」


言われるまま、お風呂に入り
その間にカカシさんは簡単にご飯を作り
食事をすませ、片付けは私がやると台所に立って
手を引かれるまま、私は大きめのベットに横になった


「おやすみナギ」

『おやすみなさい、カカシさん』


まだ寝るには早いと思ったケど
何だかすんなり睡魔に襲われた
背なかをぽんぽん叩かれて、自然と体の力が抜けるのが分かる


「ナギの寝顔、かわいい」



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