BOOK MHA/HQ

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昨日の昼休みの事を、お弁当を食べながら説明する
お茶子ちゃんの提案で、組手をする事になった事
轟くんの地雷を踏みぬいて、思わず出た火に、髪を焼かれた事
全然気にしてない事
微塵も気にしてない事

それでもかっちゃんの機嫌は悪いままだし
いつも以上に乱暴だし、意地悪だし
もう今日は切島くんと電気くんの間に避難

火傷になったわけじゃないし、ベリーショートでもないんだから
いいじゃん!


「ただでさえブスなのに、さらにブスになってどうすんだ!ドブス!」

『もう!そんなに似合ってないかな!?なら今日もっと短くしてやる!出久と見間違うぐらい!!何にイライラしてんのか知らないけど、八当たりなら出久にして!!』

「何気に兄貴に酷いこと言ったな」

「俺、今の出流ちゃんの髪型、いいと思うよ?マジで」


食べ終わったお弁当箱をトートに詰め直して、かっちゃんをひと睨みして
クラスに戻ろうとしたのに
かっちゃんは無言で私の腕をとって、阻止する
振り払おうにも、馬鹿みたいに手の力を強くするから
とりあえず大人しくしてみる


「お前!昔髪切られて大泣きしたんだろうが」

『それは子供の時の話!今はショックでもなんでもないし、泣いてもいないから』

「まぁまぁ、爆豪は出流ちゃんが凹んで気にしてんじゃないか〜って心配してんだよ」

「してねぇよ!適当な事言ってんじゃねぇ!アホづら!」


まぁあの時は、確かにショックでわんわん泣いたけど
状況も違うし、別に今髪の毛にそこまで気使ってないし
はぁ〜
大きなため息と共に、かっちゃんの隣に座り直す


『本当に気にしてないし、ブスって言われる方がいや。本当に出久と同じ髪型にするよ』

「それはやめろ。マジでやめろ」

『ならもういいじゃん!めんどくさい!』

「てめぇ……」



『かっちゃんが昔から、私の長い髪好きなのは分かるけど、仕方無いじゃん?』



かっちゃんと見上げれば、かっちゃんの手のひらで顔を覆われた
前が見えない、しかも力こめないで!いたい!

プスプスと笑う声が聞こえるし、爆豪、お前って電気くんが言ってるけど
見えない、どんな顔してる?


「てめぇは後ろにでも張り付いてろや!!」


ぐいぐいと後ろに追いやられて、かっちゃんの背中と後頭部しか見えない
けど、赤い耳が隠せてないですよー
いつの間にか、すごく大きくなった背中からお腹に腕をまわして
言葉通り、背中に貼りつく
筋肉量なのか、ご飯を食べたばっかりだからか
なんかぽかぽかして、これは寝るやつだよね


「そういや、出流ちゃんすげー静かじゃね?」

「寝た」

「まじか、爆豪さっきから動かねぇのは、それが原因か」

「うっせ、黙ってろ」

「うわー、可愛い顔して寝てんじゃん。これをブスっつーなら、世の中ブスだらけじゃね?」

「黙れっつてんだろ!」
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