BOOK MHA/HQ
□12
1ページ/1ページ
かっちゃんは、一見乱暴に見えて
頭もいいし、人の気配に敏感に反応する
それを気にするかしないかは、別として
見るからに凹みまくってる私の異変に気づくのは
息をするよりも簡単かもしれない
「何でお前が凹んでんだよ」
『心配のしすぎ……かなぁ…』
ここまで凹むのも珍しいんだけど、今回はあの嫌な予感に当てられた感じかな
前にこんな状態で帰ったら、お母さんも出久もすごい心配かけちゃって
負の連鎖って、こういう感じなんだなって理解した
その負の連鎖の鎖を引きちぎったのが
光己さんだった
「出流ちゃん、おばさんには何を言ってもいいのよ」
個性で悩んだり、人間関係で悩んだり、勉強で悩んだり
溜め込みすぎてると、かっちゃんが今回見たいに家に連れて来てくれる
昔は、光己さんに話を聞いてもらって
大泣きをして、泣き疲れて寝ちゃってがお決まりのパターンだったんだけど
最近は、かっちゃんが話を聞いてくれる
『今日、敵の襲撃があったんでしょ』
「おう」
『今までに感じた事ないぐらい、嫌な予感がしてね。いてもたってもいられなかった……』
出久が危ないって分かってたのに
私 無個性 だから、何にも出来ない
何で私には 個性 がないのかな
あったら、出久もかっちゃんも助けてあげられたかもしれないのに
ほんと
『役立たず……』
昔から、かっちゃんに言われ続けた
私の 呪いの言葉
個性もない、力もない、勉強だってかっちゃんに勝てない
何の役にも立てない
『個性 あればよかった』
ぽろぽろとこぼれる涙に、私の視線は足元へ下がる
重い溜息を吐くかっちゃんに
びくりと体が反応する
「てめぇわ」
『帰る』
かっちゃんの言葉を遮って、つかまれた腕を振り払って
今さっき閉められた扉を開こうとドアノブを掴むけど
「逃げてんじゃねぇよ」
『かっちゃんの言いたいことは言われなくても分かるよ。自分でも無いもの強請りで、駄々こねてるだけって分かってる。でも、今、それを他人から突き付けられたくない』
扉を押さえてるかっちゃんの手が離れて
そのまま後ろから、抱き締められた
突然の事に、脳内の思考回路が全部止まった
足が床から離れたと思ったら
ベットに座るかっちゃんに、私もベットに座り込む
「お前は俺が護ってやるって、ガキん頃から言ってんだろ」
落ち着け、どこも怪我してねぇだろ
お前に守られなくても、死にゃしねぇよ
俺を誰だと思ってやがんだ、ブス
後ろから抱える腕の中、体の向きを変えて
真正面から、かっちゃんに抱きつく
心臓の音、する、
体温も、あったかい
「ひねくれる前に、心配したって素直に言いやがれ」
ぎゅっと強く抱きつけば、それ以上、むしろ痛いぐらい抱きしめ返してくれた
何だか今この瞬間のかっちゃんは、すごく穏やかだ
波風1つ立ってない湖みたい
『怪我本当にしてない?』
「服脱いで、裸にでもなれってか?」
『かっちゃんの裸を直視できるメンタルはない』
どこもねんもねぇ
だから不細工な顔、どうにかしやがれブス