BOOK MHA/HQ

□05
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入学して数日、私はすでに 無個性 ってだけで若干いじめの対象になってる
雄英は、国内でもトップレベルのヒーロー育成学校
NO1ヒーロー オールマイト
NO2ヒーロー エンデヴァー
他にも数々のトップヒーローを排出してるのに
だからこそ 無個性 の出来そこないの私がここにいるのが
プライドの高い人たちには腹立たしいことなのかもしれないけれど


『朝から水ぶっかけなくても良くない?』


クスクス笑う声と共に、ばしゃりと大量の水が降って来て
もう最悪どころじゃない
髪の毛も顔に張り付いて気持ち悪いから、ゴムでポニテして、お団子にした
制服の上着は教室に戻ってから脱がないと
もし今脱いで、また水かけられたら、それこそ最悪だ


「お前大丈夫か」

『……お気遣いなく』


ごめん、今不機嫌なの、すっごい機嫌悪いの
ぽんと肩に手を置かれて、振り返れば
白と赤の髪の男の子


「泣いてるのかと思った」

『ハングリー精神だけは鍛えられてきたから、大丈夫』

「そうか、ならこれだけ羽織っておけ」


上着を肩から掛けられて、断ろうとも思ったけど
人の優しさは無碍にはできないし、正直、人の多いこの状態で
こんな風に声をかけてもらえるとは思わなかったから
ちょっと嬉しい


『ありがと。クリーニングして返すよ』

「明日から着るのがねぇと困る。放課後ならお前の上着も乾くだろ。1−Aで待ってる」

『わかった。ありがとうね』


下駄箱で別れたあと、名前聞き忘れたけど
1−Aって言ってたし、出久に聞けば分かるからいっか

教室に入れば、思ってだって嫌がらせはないし
数日後に控えてる、個性不使用の戦闘訓練で絶対仕返しするから
闘志を燃やしつつ、1日の授業を終え
自販機でお茶とスポドリを買って
制服を抱えて1−Aに向かう


『失礼しまーす』


ガラガラと教室のドアを開けば、一斉に集まる視線に
放課後でも案外人が残ってるんだな
その中から、びっくりした顔の出久がいるから
ひらひらと手を振る
慌ててこっちに来ようとしてるけど


『ごめん、待たせちゃって。普通科からヒーロー科少し遠いから』

「そんな待ってねぇ。逆に悪いな持って来させちまって」

『いいよ、私が借りたんだし』


はい、お礼。簡単でごめんね
目の前にお茶とスポドリを並べれば、お茶の方に手を伸ばしたから
スポドリだけ回収した
出久がどもりながら、知り合い?って聞いてきたけど
うーむ、なんて返そうか


「こいつ、朝から水かけられて、びしょ濡れだったんだ。だから上着かした」


目の前の紅白半分くんがスラリと朝の出来事を口に出してしまって
私はすぐ様、しゃがみ込んで、髪の毛を守った


「てめぇ!ナメられてんじゃねぇよ」


案の定、頭上で起きる爆発に、若干出久が巻き込まれたけど
私は無事だ、絶対爆発されると思ったもん


『かっちゃん!いきなり個性つかったら危ないよ』

「てめぇは避けただろうが、ブス」

『出久が巻き込まれた』

「クソナードなんか知るか!そんでぇお前は半分野郎に泣きついたんか!」

「爆豪、こいつ泣いてなかったぞ」


考えるアダナがほとんどいっしょで、かっちゃんと同じ思考回路な事に少し笑って
ちょっとずれた回答の半分くんに苦笑して
かっちゃんを真正面から見る


『私がこの程度で泣きつくわけないじゃん。メンタル強いの、かっちゃんも知ってるでしょ。明日か明後日ある戦闘訓練でぼっこぼこに仕返しするって』


にやりと笑えば、かっちゃんも納得してくれたけど
茶髪のボブの可愛い子が、おそるおそる


「そんでこの子は結局なんなん?」

『申し遅れました。緑谷出流。出久の双子の妹です。あとかっちゃんの子分その4くらいになると思うんで、よろしくおねがいしまーす』

「緑谷の妹か。轟焦凍だ」

『改めてありがとう。これからよろしく』

「半分野郎となんか、握手してんじゃねぇ!!!」




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