BOOK MHA/HQ

□13
1ページ/1ページ

金曜日の朝、朝練を終えた治くんがオヤツをもらいに来て
北くんにもおすそ分けをして
もぐもぐしてる北くんから、プリントを1枚渡された


『2泊3日の強化合宿の献立一覧?』


日付は来週の日付で、金曜から日曜日にかけて
強化合宿というより、レギュラーの最終調整みたいな感じかな?
金曜夜、土曜の3食、日曜の朝食と昼食、計6食分
美味しそうなメニューだし、バランスもいいし、これ、私に見せてどうするんだろう?


「明日の土曜日に、食事係が試しに作るらしいんやけど、高校生男子の力量なんてたかがしれとるやろ?せやから、手伝いに来てくれへんか?作り方を一通り教えるだけでええ」

『家庭科の先生とかに頼んだ方がいいんじゃない?』

「授業みたいでいやや言うとんのよ」

『特に用事もないし、私でいいなら協力するよ』

「俺、明日の昼かつ丼くいたい」

『かつは揚げるの面倒だし、油の処理が大変だから却下。親子丼か豚丼なら簡単なんだけどな〜〜』

「しゃーないな、豚丼で手をうったる」


椅子に座る私を後ろから甘えるように抱きつく治くん
前にいる北くんは、なんとも言えない顔してるけど
そんな顔するなら、一言注意してくれればいいじゃないか


『材料の買出しから?』

「顧問が今日のうちに、準備してくれる言うてたから、材料と調味料は大丈夫やろ」


ほな、明日頼む
席に戻る北くん、未だに張り付いている治くん
そろそろSHRのチャイムが鳴りますよー

豚丼だけじゃバランス悪いから、サラダに、フルーツにヨーグルト
味噌汁もあった方がいいよね
私の分も一緒に作って、家庭科室で食べよう




『私が来る意味あったかな?』


土曜日、朝から合宿所の調理場で男子3人と私で食事を作るけど
私来る意味があるのか分らないぐらい、手際が良かった


「白銀さんの指示が的確で、バタバタせーへんで出来たんです」

『そうかなぁ、私いなくてもみんななら大丈夫だと思うよ』


本番は量も多いから頑張ってね
鍋や調理器具の片づけが終わって、私は親子どんの準備


「今度は何作るんです?」

『治くんが親子どん食べたいってリクエストがあってね』

「自分らの分もお願いします!」


いーよ、鶏肉いっぱい買ってきてるし
持ってきた卵も、余ってるのも使い切っていいって監督言ってたし
じゃあ、えっと5人分の親子どん作ろうかー
野菜切って、肉と煮込むお手軽料理だけどね


「出流、俺のメシできとる?」

『練習終わるの早くない?いまから作るところなんだけど』

「北さんも料理の出来の確認来る言うて、早く切り上げたんや」

『そーなんだ、あ、治くんそっちのつまみ食いはダメだからね。大人しく座ってて』


手を出そうとしてる料理は、合宿に出す食事で北くんに確認してもらうやつだから
つまみ食いはダメだよ


「出流、そのエプロンなんなん」

『え?パンダさん。可愛くない?』

「(可愛ええ、可愛ええから言うとんの分かっとらんな)以外やっただけや。もっとシンプルなもん使うとる思ってた」

『シンプルなのは持ってないなー、ピンクの花がらフリルとかは持ってるけど、あれ、着にくいんだよね、お気に入りはこのパンダさん』


その後すぐ、調理場に北くん、というか、レギュラーが全員食事の味見に来て
各々お弁当を持参しているあたり、ここでおかずをつまみながら食べるつもりなんだろうけど


「サム!お前!今日弁当いらん言うてたよな!こういう事やったんかい!」

「喧しい。お前は自分の弁当食うたらええ」

出来あがった親子丼を目の前に、花を咲かせる治くんはすでにツムくんを視界にすら入れてない
テーブルいっぱいに並ぶ料理は、食べるのが大好きな治くんからしたら天国だろう


「合宿の日も、手伝いに来るんやろ?」

『来ないけど』

「何でや、出流合宿来ぃへんの?」

『何で部外者が当然のように合宿に参加するのさ』


ほっぺにご飯粒をつけた治くんが、びっくり!みたいな顔してるけど
普通に考えたら参加しないでしょーに


「監督に言うて見るか、その辺の女子なら監督はええ顔せぇへんけど、白銀なら行けるんちゃうか?」

「北さん!監督説得したって!」

『そこまでしなくていいよ。レギュラーの最終調整の合宿でしょ?料理係だって今日見てたけど、私いなくても大丈夫だよ』


ね!って食事係を見るけど
目キラキラして、白銀さん来てくれるなら、俺らの仕事ちょっと減るんで
練習してもええですか!
って、ノリ気じゃないか……
ツムくんも止め……るわけないか、すっごい楽しそうな顔してるもんね
あーあー、私の平穏な週末がなくなっていく


「白銀さんの気持ち次第やな。どうしても嫌や言うなら無理には誘わへんよ」

『この状態で断れないじゃん』

「「出流俺のスパイク/トスちゃーんと見たって」」

『双子ユニゾンしないで』




.
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ