BOOK MHA/HQ

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あの後、普通にクラスに戻るのが何となく嫌で
校内をブラブラと遠回りして
5時間目始まるぎりぎりにクラスに戻った


「治におうたか?」

『バレー部に来てって言われて、やっぱりいいって言われてからは合ってないよ』

「そか」


それだけ確認して北は自分の席に戻っていった
何だったんだろう?
私には関係ないか
メールも来ないし、たぶん、もう私に会いにクラスに来る事もないだろうし
明日からおやつを作っても食べる人がいないな
授業を終えて、SHRを終えて
部活に急ぐ人を見送りながら、私も帰る支度をする


「白銀さん」

『ん?』

「前の学校も、俺らん事も、どっちも応援したってええんやで」

『なに、突然』

「サムに聞いたんや」


そうか、廊下で言ったこと、北たちバレー部は知ってるのか


『治は、自分たちだけ応援してほしいみたい。私にはそれは出来ないって言ったら、どっか行っちゃった』

「あいつが子供なん、知っとるやん」

『うん』

「わかっとるならええ」


それだけ言って、部活に行く北を見送って私も席をたつ
北は、あぁ言ってくれたけど
割りきればいいだけ
私は稲荷アで、よそ者で、烏野高校を応援する
悪役でいい
どうせあと数か月の付き合いだし
その間、何をされても、耐えればいい話
友達だって、いらない


「出流さん」

『私に何か用ですか?宮くん』


後ろからかかる声に返すけど
私がいつもと違う 敬語 で話したのを治は気付いて
それが、私が作った壁だと理解はしただろうか


「なんなん、その話し方」

『特に何がどうしたわけではありませんけど』

「昼休みんこと、謝ろ思て、探したんや」

『謝罪はいりません。宮君が悪いとかの話ではありませんから』

「出流さん、俺…」

『もうほっといていいですよ。私 よそ者 なんでしょう』

『新しい後輩も友達もいらない、卒業まであと数か月の辛抱ですから』


それだけ言って、靴を履き替えて学校を後にした
治がその後どうしたかは知らないけど
部活で、私の言った事をみんなに言うだろう
そしたら、学校全体に広がって
望み通り、文字通り、一人ぼっちだ

家に帰って、ご飯を作って、お風呂に入って、布団にもぐりこむ
父親は仕事が忙しいから、ほとんど家に帰ってこない
結局一人になる事が多い
なら、宮城に、烏野にいさせてくれれば良かったのに
親はなんて自分勝手なんだと思う

宮城にいる友達から届くメールは、日に日に少なくなっていく
きっと、あと1カ月もしたら、誰からもメールが来ないんじゃないかと不安になる
誰からも来ないわけないか
烏野バレー部は、誰かしら毎日メールくれてるし
谷っちゃんなんて、事あるごとにメールくれるしね

一人ぼっち ってのは、訂正しなきゃかな




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