BOOK MHA/HQ

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体育館に近づいて、抱きあげられてるのを北に見つかって
片割れくんが怒られてた
ついでに治も、何で止めへんかったんや!って

ギャラリーには、女の子がたくさんいて
双子目当てがほとんど
青城の主将を見てるようで、ちょっとムナクソ悪い


『私連行された意味がわからないんだけど』

「俺が呼んだんや。治の足、途中で何かあったら、すぐ処置した方がええやろ」

『ぐぬん。正論すぎてなんも言えない』


見る限り、マネージャーはいないけど、部員の数が多いから
1年生が代行でマネ業してる感じかな
上からの方がよく見えるから、2階のギャラリーに上がる
うちも良く練習してたけど、うん、さすが全国、迫力は段違い

強打うつの多いし、サーブも良く決まってる
強打打てるやつが、ジャンフロ打てたら、そりゃ困惑するよな
タッパもある、ガタイもいい
これが、全国2位のチームか、どう攻略していくか迷いどころだな
しかも3本の指のスパイカーもいるし、さすが強豪
あぁ、動画とりたい、送りたい

セッター頭いい、集中力半端ない、あれ気持ち良く打てない奴はバレー向いてないぐらい
器用だし、視野も広い、しかもいい性格してる
なーんて考えてたら、あっという間に休憩時間
私、いる意味あるんだろうか?
いい情報仕入れたのに、それを発散させる場所がないなんて!

ちょいちょいと、治が私に手招きしてるように見えて
自分で自分を指させば、頷くし
下、きてや
なんて口が動くから、大人しく下に向かう
汗だくで見下ろす彼は、何を言いたいのかさっぱり分らないけど


『もしかして、お腹すいた?』

「おん」

『休憩時間あと何分?』

「10分」


鞄の中からプロテインバーを出して、彼に差し出す
もぐもぐ食べる中、汗垂れて気持ち悪くないんかな?


『ちょっと屈んで、食べる前に汗ちゃんと拭きな。風邪……は引かないだろうけど、気持ち悪いでしょーに』

「おん」


食べるのに夢中って、アホか
首に掛かるタオルを頭に乗せて、わしわしと頭を拭く
食べるんは半分にしときな、口ん中甘くて気持ち悪いだろうから


「気持ち悪ぅない」

『まだ練習あるのに、今全部食べたらまた腹減るよ』

「もう無いん?」

『まだあるけど、食べすぎもダメ。カロリー高いんだから』


ま、カロリーなんてすぐ様消費できるだろうけどね
言うこときいて、半分を残したところで
後ろから伸びる手が、その半分を搔っ攫う


「ええもん食うとるやん、半分くれや」

「クソブタ、返せや」

「いやや、もうすでに食うてしもたし」


治すごく怒ってる、これはヤバいん
口の中いっぱいにもぐもぐしてる片割れくんに、青筋を立てる治
いや、まだあるから


『まだあるから、喧嘩しない。ほら早く練習戻りな、そろそろ10分たつよ』


二人を無理やり体育館の中へ押し込んで、北に怒られるツインズ
2階のギャラリーに戻って
また練習風景を眺める


「「あざーしったっっ!!」」


結局最後の最後まで見てしまった
片付けは1年生と2年生でやるらしく、3年生と言っても春高まで残るメンツだけは
部室に戻るのかと思いきや
残り練が始まるらしい、流石に私は帰ってもいいかなと席を立ち
きゃーきゃー言う女子がいなくなる頃、靴を履き換えようとしたんだけど


「見て行かへんのか?」

『お疲れ、残り練はいいかな。これおやつ、片割れくんにも分けてね』

「クソブタの分まで、俺が食う」

『バレないように食べなね』


拭く気がないのか、拭いてもまた汗をかくから、面倒ななのか
首にかかるタオルに手を伸ばせば
言わずに少し屈んでくれる


『テーピングに違和感は?』

「あらへん」

『膝に痛みは?』

「朝ほどの痛みはない」

『アイシングは忘れずに』


タオルを再度首にかけ、終わりと告げる代わりに、肩ら辺をぽんぽん叩く
じゃあね、と手を振って今度こそ体育館を後にする
今日の収穫は、とりあえず、ノートにまとめよう
治と北のはマッサージもしたから、詳しく書けるし

頭の中を整理しながら、肌寒い空気に火照った体が冷めていく





「北さん、白銀さんまたマッサージやって言うたら、やってくれますか?」

「知らん。まぁ明日頼んでみたらええ」




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