BOOK 十六夜

□11
1ページ/1ページ

目が覚めたら、ラフな格好で寝かされていた
スエットのような長ズボンに、インナーに大きめのTシャツ
ぽつり ぽつり と窓を叩く雨の音
まだ雨は降り続いている
思わず、窓から街へ飛び出した


「あ、お姉ちゃん!雨!降ったの!」

『うん、雨降ってるね』

「だから、ひのくに、行かなくてすんだ」

『ママと一緒にいられるね』


遊ぼう!お姉ちゃん!
と腕を引かれ、広場に出れば
子供が数人雨の中遊んでいる
風邪ひいちゃいそうだけど……


「お姉ちゃん忍者さんなの?」

『そーだよーー』

「何かやって〜〜!」


よしよし、子供に夢を与えるような忍術を見せてあげよう
それにはまず


『口寄せ!』


親指を噛んで、地面に手をつく
ぽん と出てきたのは、水の狼
噛まないから、触ってごらんと言えば
子供らはみーんな水狼に群がる


『ごめん、向こうの森の中適度なスピードで走り回ってきて』


ウォン!とひと鳴きして、水狼は水を蹴って走り出した
えー、行っちゃったー
と残念がる子供らを集める


『水鏡』


水を集め、それをスクリーンのように大きく広げる
パチリと両手を合わせれば
そこには、砂漠を走る映像が映る


「すげー、はえーー!!」


水狼は砂漠を抜け、森に入る
草木を走り抜け、時々木々の枝に飛び上がる
小川が見えたり、野花が見えたりすれば
子供らの歓声はさらにあがり、その声を聞いた大人たちまで集まってきた
水鏡を見やすいようにさらに大きくしようとしたけれど


「何してるんだってばよ」

『あ、ナルトー。お疲れ何してんの?』

「ナギ探しに来たんだってば!カカシ先生が怒ってんだよ!」

『え?なんで?』

「アンタが病室抜け出すからだろーが、めんどくせー事すんな」


ナルトにシカマルも登場して
何か私がめっちゃ怒られてるの図
いつの間にか、影真似の術で影縛られて
両手を離しちゃったから、水鏡も消えちゃった


「ナルト、動き止めてる間に、ナギ拘束しろって」

「わかってるってばよ」

『え?まじで?なら逃げちゃおうかな〜』


影真似で動けないけれど、逃げせないわけでもないんだよね


『水縛り』


印を組むシカマルの背後にゆらりと水が浮かび
シカマルを囲む
水がシカマルにまとわりついたのを確認して、体を動かせば


「ちっ」

『ははは、影真似やぶれたり』


影が元に戻った
ナルトが影分身で突っ込んでくるけど、軽く飛んで回避する
そこから鬼ごっこが始まった
2対1で不利のように見えるけど、一応元暗部だから
簡単には捕まっちゃあげないよ

屋根の上を走り、ナルトの影分身を足場にすれば
ぽんぽん音をたてて消えていく
単純明快なナルトはまぁ置いておいていいとして
後ろでだるそういな目を向けるシカマルは要注意


「ナギ俺たちがカカシ先生に怒られるってばよー」

『君たちの任務は、私の捕獲でしょ!がんばれー』


一般市民がいるんだから、クナイ、手裏剣の使用は禁止!
建物を破壊するような術も禁止!
体術と、迷惑にならない術のみを使用可とします!

と声高らかに宣言


『隠れはしないけど、逃げはするよ。もちろん攻撃もする予定』

立ち止まって振り向けば、二人してぴたりと止まる
さぁ、どう出る?

ナルトが何か喋りながら突っ込んできて、ひょいと避ける
勢い余って屋根から落ちそうになってるけど
この子、大丈夫かな?

ナルトはあいも変わらず無計画な攻撃をしてるけど
何か作戦あるのかな?
シカマルも結構いいタイミングで影を伸ばしたり、攻撃に参加してるけど
そこまで決定的なものでもないし


「うおりゃ!!」

『だーかーらーー攻撃が単調すぎるでしょーよ』

「うわっ!」


ナルトはバランスを崩し、屋根から体を投げ出す
ちょ、ここ結構高いって!
とっさに、足にチャクラを貯め一気にナルトに駆け寄り
ナルトの手を掴んだけど


「捕まえたってばよー」


……どうやら騙されたらしい
伸ばした手は、逆にナルトに捕まえられて
さらにナルトはぎゅっと抱きついてきた
上をみれば、ニヤリと笑うシカマルに
やられた〜〜と素直に思う

ナルトをくっつけたまま、シカマルの元に戻れば
俺たちの勝ちだってばよ!
とナルトがはしゃいだ


「大人しくカカシ先生んトコ行くぞ」

『は〜い。この作戦いつから張ってたの?』

「ナルトには大ぶりに攻撃の指示だけだして、落ちるタイミングだけ合図を出しただけ」

『ここまで誘導するのは?』

「俺がちょいちょい攻撃に混じって、少しずつ軌道修正した」

『はぁ、本当にシカマルってシカクさんそっくりね』





.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ