BOOK 十六夜

□08
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シカマルに説明しなきゃと考えながら数日
全然シカマルを見かけなくて、もういっかと諦めたところで
ばったりと遭遇
説明しろと言われて、甘味を手土産に奈良家にお邪魔することに


『口で説明するの面倒だから、見ててね』


中庭にたち、縁側に座るシカマルの前で
水を操る
指先でくるくる、花の形を作ってみたいり、手裏剣の形を作ってみたり


『こんな感じで、私は水を操れるのよ』

「忍術…つーわけでもねぇっすよね」

『そう、これは忍術じゃない。チャクラは一切使ってないし』


薄っぺらの紙に、自分のチャクラを流し込めば
綺麗に縦に切れる
切れた紙を両手に持ち、またチャクラを流し込ば
今度は燃えて灰になった


『ご覧のとおり、私は水のチャクラを持ってない』

「じゃあなんで」

『んー生まれつきの体質かなぁ?それで、相手の水遁だろうが、自然界の雨だろうが、海水だろうが自由自在なわけよ』

「だから、相手の水遁に身を投げ出して、一見自滅のように無茶しても大丈夫と」

『手厳しいね…』


よいしょ
草履を脱いで縁側にあがる
足を投げ出して座り、シカマルが入れてくれたお茶を飲み
お団子を一緒に食べる


「団子食いながら、湯呑持つな。ぜってーこぼすから」

『あーい』

「お手拭き用意してんだろ、服で指ふくなっつーの」

『あーい』


もぐもぐとお団子を食べ、お手拭きで指についたタレをふく
お行儀悪く寝っころがりながら、青空を見上げる


『風よ舞え  雲よ集え  雨雲よ太陽を隠せ
 大地を潤せ  雫よ降れ(くだれ)  愛しき この地に』


不思議そうに見るシカマルに
空を指差す
雲1つない青空に、薄く雲が広がり
しだいにパラパラと雨がふる
ところどころ、雲の切れ間からは青空が広がり
これはいわるゆる


「天気雨」

『狐の嫁入りだねぇ』


のんびりした声で返事をすれば、眉間のしわが濃くなる
そんなだと、眉間のシワ取れなくなるよ〜


「これも、ナギの力」

『内緒にしててね』

「なんでだよ」

『天候を操るなんてバレてみなよ、どうなるかわかるでしょー?』


術の他に、天候を操る力
それはどんな悪事にも利用されるし
それを危惧した力あるものは、その物自体を消そうと動く
誘拐、洗脳、暗殺、拷問、人体実験
敵も味方も、信じられなくなるでしょ


「はぁ、めんどくせー秘密知っちまったな」

『これ知ってるのは、亡くなった3代目、カカシ、ヤマト、あとはねぇ…』


私が視線を投げた先を、シカマルが追って
その姿を確認したところで
理解した ってため息がシカマルから1つ溢れる


「俺だ」

『おかえりなさーい、シカクさん』

「親父かよ」


ドカッと座って、ガシガシと髪を乱される
シカクさん久しぶりだなぁ
奈良家の血って濃いよねぇ
シカマル、シカクさんそっくりだもんねぇ


「元は水の国、アメフラシの一族でな。ナギはその数少ない一人だ」

「水の国、火の国じゃねーんだな」

「あぁ、ナギのばぁさんがな、火の国に嫁がされたんだよ」


ばば様は、数少ないアメフラシの一族だけど
どうも力が弱かったらしく、クズだ、カスだ、一族の面汚しと言われ
火の国の忍と、強制的に結婚された
多額のお金と引き換えに
火の国も、少なからずアメフラシの血が欲しかったってところ
でもねぇ、ばば様は幸せだったって言ってたから
私は、それはそれで良かったって思ってる


『んで、孫の私にアメフラシの血がこゆ〜く出ちゃってね、今でも親戚であろう人から帰ってこいって手紙が来るぐらい』


帰るわけないのにねぇ
水の方のアメフラシは最近あたりがないらしく、勢力的なのがだんだん薄れているらしいから
力の強い私を呼び戻したいんだろうけど


『おとといきやがれって言い返してやったの。私は木の葉の忍だ』


とまぁ、こんな感じで説明は大丈夫でしょう
見上げれば、シカクさんとシカマルが視界に入って
ぷはっ と笑ってしまった
だって、似すぎでしょ


「そうだな、お前は立派な木の葉の忍だ。今更木の葉を出るなんて言ったら、カカシらへんが全力で止めんだろ」

『でしょーね。私愛されてますから』


仰向けの状態から、うつ伏せにごろんと寝転がり
大福に手を伸ばす
あいかわらずビニールは、私の邪魔をしてくる


「貸せ」


シカマルがあっという間に、ビニールをはがしてくれた
私の周りには、面倒見てくれる後輩がいっぱいだ
ダメな先輩を支えておくれ


「他の里から、木の葉の狼と恐れられてるのに、普段はまったく雰囲気ねぇよな」

『どうせなら、なんかもっと、こう、いい感じの呼び名がいいな』

「どんなだって」


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