BOOK 十六夜

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カカシの家にお邪魔するようになって3日
せめてお手伝いをしようにも
洗濯を干せば、雨が降り
お皿を洗えば、不注意で皿をわり
部屋の掃除をすれば、掃除道具が壊れる
はっきり言えば、なんの役にもたっていない


『ぐすん......』


今は上忍待機室で、一人膝をかかえている
もう凹んでも仕方ないし
とお茶を入れようと立ち上がり、茶筒を手に取る
力を入れても中々あかなくて
悪戦苦闘していれば、ドアの開く音にびっくりして
手を離してしまい、落ちた床には茶葉が広がった


「大丈夫?片付け手伝うわ」

『ありがとー』


美人なくノ一さんが手伝ってくれて、どうにか片付けをしたけれど
一人わたわたしている間に
美人さんが全部やってくれた


「私は夕日紅、あなたは?」

『##NAME2##ナギ』

「ほぅ、嬢ちゃんがカカシの先輩っつーくのいちか」


若けぇのに、たいしたもんだ
と豪快に笑うのは、猿飛アスマ
いやいや、違うよ?きっと私


『あなたたちより年上な気がするよ、私』


今年で32歳
と、紅が入れてくれたお茶をすすれば
テーブルに置いたタイミングで、ガシリと肩を掴まれた
痛い...


「その肌で32歳!?嘘でしょ!どこの化粧品使ってるの?化粧水とかは?」

『え?なんにもしてないよ。カカシの家にあるボディクリーム?を使わしてもらってるだけ』


見るからにガクーンと肩を落とす紅に
そのままでも充分綺麗なのに
と漏らせば、皮肉にしか聞こえないわ!と怒られた
なぜだ......


「お前、どんくさいな」


テーブルに置かれた和菓子を手に取れば
ビニールの梱包に苦戦......
どうしても綺麗にはがせない
見るに見かねて、アスマが器用にビニールをとってくれた


『ありがと』

「いや、ほらこぼすなよ」


とお父さんみたいな事を言われた
流石にこぼさないよ?もったいないもん


『あ、ヤマトがこっちに向かってるみたい』


一口残った大福を口に放り込み
出迎えてやろうとドアを開ければ
やけに軽いドアに、ぶつかる鼻


「わっ、すいません、大丈夫ですか?」

『ヤマト...痛い…』

「ナギさん気配薄くする癖やめてください」

『これは、ほら、あれだよ自動調整だから』

「僕だからよかったものの、他の誰かにぶつかったらどうするんです?」


手を引かれて、紅とアスマの前に座らせられる
向かい側にあるマグカップと、へんにヨレたビニールを見て
私の飲みかけ、食べかけだと判断したヤマトはそれを、私の前に置いた


「ヤマト何でそれが、ナギのだってわかったのよ」

「簡単です。ここでマグカップでお茶を飲む様な人は数人しかいません、それにこのカップカカシさんが使っていいと言ったものだし、なにより」

そのビニールに悪戦苦闘したナギさんが目に浮かびました
うん、あたり、流石後輩、いい読みだよね


『流石、あたりだよ』


と、2つめの大福を手に取る
あ、イチゴ大福だ
とビニールを開けようとして、ヤマトに奪われた


『私のイチゴ大福』

「取って食いやしません、はいどーぞ」


と綺麗なまん丸大福に、
ありがとうとかじりつく
うん、美味しい


「クリームついてますよ、ほら、こっち、服で指拭かないで、舐めたあともダメです」


ほらお手拭き
と何から何までやってもらった
カカシも過保護だけど、ヤマトはもっと過保護だ
だけどそのおかげで、つぶれた大福を食べないですんでる


『今日も来るんでしょ』

「もちろん、むしろ部屋解約して、あそこに住みたいぐらいです」

『それ、案外いいかも』

「でしょ、ナギさんに一人暮らしなんて、不安で夜も眠れません」


その会話に、紅がクスリと笑う
仲良しさんね
と私と比べられないほどお色気満載で言われた
いいな、あの色気欲しい


『ねぇ、紅。その色気、どうやったら出せる?私も色気欲しい』

「そうねぇ、じゃあちょっと一緒に行きましょうか」


男どもはそこで大人しく待っていなさい
とぴしゃりと言い放った



数時間後


『どう?』


紅の忍服のスペアを貸してもらった
できない化粧も紅にやってもらって
いつも晒しでペッタンコになるほど潰してた胸は
サイズのあった下着に代わり、人生初かもしれない谷間が生まれた


「おぉ、似合うじゃねぇか」

「に、にに、似合ってますけど、その!あの……」

『へん?』


とまじまじと自分の格好を見る
そんなに変じゃないと思うけどね
ま、確かに紅ほど色気は出なかったけど


『あ、カカシの気配』


ヤマトと同じように出迎えようとドアに向かい
ドアを開けようとして、デジャヴ?
また鼻先に衝撃が


「紅?ごめーんね」

「私はこっちよ、カカシ」

「あれ?じゃあこっちは?」


鼻先を撫でながら見上げれば
固まるカカシ


『やっぱり似合ってない?』


首をかしげれば、カカシは勢いよくしゃがみこむ


「なにこれ、なんの苦行なの、今任務終わって先輩の気配探して、疲れ癒そうとしたら、これだよ。マジなんだろうね、こんな拷問みたいな格好して、手出すわけにもいかないのに、あーもう、ホントヤダ。ヤダヤダ。似合いすぎててヤダ。なにその谷間、なにその足、化粧までしちゃって、なんなの?めっちゃ可愛いわ」


ブツブツ何かを言ってるカカシをほっておいて
ヤマトの隣に座りなおす
すぐさま復活したカカシは、私を抱き上げ、膝に乗せれば
そのまま首筋にぐりぐりと自分の匂いを付ける


「はい、ナギさん、あーん」

『あーん』

「クリームついてーるよ、あまっ…」

『舐めるからいけないんじゃん』


きっと目の前に座る紅とアスマはこう思ってるはず

いちゃつくなら、他でやれ!!

って

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