BOOK 十六夜

□02
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さて問題です
私は今日から暗部を抜けて、上忍として職務を全うするつもりですが
家がございません
今まで長期任務に出ていたうえ、木の葉崩しで家が半壊し
住む場所がない


「さて、どうするか。誰か知りあいはいるか?」

『知り合いってゆう知り合いはいませんね……』


どこか部屋を手配する
と言ってくれたけど、数日かかるだろうし
上忍待機所で寝るしかないかな


『上忍待機所で寝ます……』


シャワーだけ借りに来ます と許可貰って
とりあえず、シャワーを浴びた
あ、服と出てから気付いたけど、シズネさんっていう付き人の人が用意してくれたのかな
新しい忍服が置いてあった

ふとももの真ん中程の着丈の着物に、広めの帯、上下紺色のインナー
ニーハイに草履
......これ、誰の趣味
5代目かな?

忍刀を帯の上から巻いた兵児帯にさし、背中側にまわす
上忍待機所には、まだ誰も来ていなくて
一番奥のソファーに体を横たえる
薄手の毛布を体にかけ、さっき刺したばかりの刀を抱きかかえるように眠りに就いた


『(久しぶりに、熟睡できる.....)』






頭を撫でられている感覚がして
意識が浮上していく
体が思うように意動かないのは、久しぶりの熟睡で、まだ体が寝ているせいか
それとも、ソファーの上で丸まって寝ているせいか

もぞもぞ、と毛布の中に顔を半分ほど埋め
止まったとはずの手は、また頭を撫でた
そっと毛布をめくられて、ひんやりした空気が腕をなでる


『さ・・・むぃ』

「ごめーんね」


と小さい声が降ってきた
あ、この声に、この言い方・・・
うっすらと瞳を開き、頭の上にある手の先を見れば
銀髪と右目が見えて、やっぱりこの人か


『カカ...シ...?』

「先輩だよね?ここで何してるの?任務は?」


こそこそと、小さい声で聞いてくるカカシ
さっき毛布をめくったのは、暗部の服かどうか見たのかな?
まだもう少しだけ寝たいんだけど
周りにも数人の気配があるから、起きないとまずいよね


『ふわぁ〜......カカシ大きくなったねぇ』

「何おばあちゃんみたいな事言ってるの、ほら」


寝たまま、カカシを見上げていれば、起きなさいって事なのか
カカシの手が伸びてきて、その手に自分の手を重ねる
引き起こされても、まだぼーっとしている脳をどうにか起こそうと思って
お茶か何かあったよね〜
と立ち上がろうとして、カカシに止められた


「俺が持ってきますから、座っててください。何がいいですか?」

『ん〜〜どうしようかな............』

「はい時間切れ、てきとうに持ってきます」


よろしく〜〜
とカカシを見送って、ソファーの背もたれに体を預け
膝をかかえる
その上に、中途半端にずれた毛布を綺麗にかけ直した


「はい先輩。熱いですからちゃんと冷ましてから飲んでくださいよ」

『ほうじ茶のいい香り〜、ありがとね、カカシ』


両手でマグカップを握って、ずずっと飲み込むけど
思ったより熱くて、体が跳ねる


「俺がさっき言ったこと、聞いてました?」


相変わらずだな、先輩は
なんて愚痴をこぼしているけれど、知らない知らない
ほうじ茶を飲んで、通常通りの思考を取り戻した頃


「先輩、俺の名前知ってたんですね」

『そりゃ里一番の技師と言われる、はたけカカシを知らない人のほうが少ないでしょーよ』


と笑えば、ちょっと不機嫌そうな顔
あれ?違った?間違えた感じ?


「先輩にそいう言われるのは、嫌です」


と鼻をつままれた


「カカシさん、その人知り合いか?」


と声をかけてきて
自己紹介、してないや
と思い、とりあえず


『##NAME2## ナギといいます、今日から上忍としてがんばりまーす』


とゆるく挨拶しておいた
よろしく〜といろんな方から返事があったけど
横にいるカカシは驚いた顔


「先輩暗部抜けたんだ」

「暗部...カカシさんの暗部時代の先輩ですか?」

『そうだね、実力的にはカカシの方が断然上だけど』


とふざけたら、そんな事ないでしょーよ
と呆れた眼差しが向けられて、笑ってしまった
暗部のときは、表情は見れなかったけど
表情豊だな〜しかもあの頃より断然雰囲気が丸くなった


「それで先輩、まさかとは思うけど暗部の時みたいにここで寝泊りするとか言わないよね?」

『......』


訂正、それほど丸くなってない
ニコニコと笑っているのに、背後はどす黒い何かがモヤモヤしてる
あーどうしようかなぁ


『今5代目が部屋手配してくれてるから、それまでの間は......ね』


さらにどす黒いのが増した
だって、仕方ないでしょーに


「なら俺の家来てください、布団も部屋数も余ってるし」


けってーい
ととっさにどす黒いのが引っ込んだ
正直、あの提案はありがたいし、数日の間お世話になろうかな


『じゃあお願いしようかな』

「うん、じゃあ必要なもの買いに行かないと、ほらナギさん立って立って」


ぐいと腕を引かれ、マグカップ!落とす!
と思ったら、いつの間にか影分身のカカシがカップを取り上げ
流しで洗っている
チャクラの無駄遣い......





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