おジャ魔女どれみ

□第6話:ライバル
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何時も通り、ドラマの撮影をしていると突然櫻井さんから呼ばれ、ドラマの撮影が一旦中止になった。

自宅から電話がかかってきているようだが、様子がおかしいらしい…

電話がかかってくること事態珍しいため、余程のことがあったのか…

とりあえず、その電話に出る。


「…はい。」

「ライムーーーーー!!!一大事よーーーー!!!」


………………。

どうやら相手はララのようだが、櫻井さんの言う通り、様子がおかしいようだ。


「…落ち着いて、ララ。一体、どうしたの…。」

「ごめんなさいッ…実は…。」


ララが言うにはこうだ。

デラが持ち掛けてきたポーカーに負け続けたリカが、無理なかけをして店の営業許可証と権利証を渡さざるを得なくなったらしい。

はぁぁ…

…全く…。

でも、今更リカ達を責めても意味がない。


「…今、ララ達は何処にいるの?」

「…店の片付けをしているわ…。」

「…分かった。私も今から帰るから…。」

「ッ!…ごめんね…迷惑かけて…。」

「迷惑だなんて、思ってないよ。…ララも大変だったね…。」

「ライムッ…ウワァァァァァァァン!!」


ララが泣き止むまで電話で話、すぐに帰るからと切り、電話を櫻井さんに返した。



「家族の方、どうかしたのかい?」

「…実は…。」


心配そうにこちらを見ていた櫻井さんに事情を話すと、快く帰らせてくれる手続きをとってくれた。

監督やスタッフ、共演者達に一緒に事情を伝えに周り、全員から許可をもらい、私だけ先に帰らせてもらうことができた。

後は櫻井さんがやっておくからと、車の手配まで数分で終わらせてくれた櫻井さんの手腕は流石といえる。


「…すみません。ご迷惑をおかけします。」

「これくらいなんてことないさ。それより速くご家族のところに行って安心させてあげて。何かあったら電話するんだよ。」


…本当に…優しい人…


「…はい…ありがとうございます。」


そんな櫻井さんに頭を撫でられ、私は用意してもらった車で店に急いだ。

そして店に着いた途端に気づいた。

もう一人…私の知らない魔女がいることに…。

これは…どういうことだろうか…

デラに権利証をとられたのでは…

店に近づくと、店の外で春風さん達がその魔女と言い合いをしているのが見えた。

どうやら、噂を聞いた魔女がデラから権利証を買ったようだ。

リカと何か因縁があるのか、その魔女は高らかにリカを見下して笑っている。

…リカ…

悔しそうに泣いているリカ。

自業自得とはいえ、そんなリカを見るに耐えない…

そんなリカのもとまで近づく。

私の方に皆んなの視線が集まりだすが、今はリカが先決だ。


「…リカ…。」

「ライムッ…!」


小さく床に這い蹲るリカをそっと掬うと、リカは悔しそうに泣き続けている。

それもそうだろう…

自分のせいとはいえ、あんなに大事にしていた店を渡すはめになったのだから…


「あら〜?貴方がマジョリカの養子になった有名芸能人のライムちゃんね〜!この店が私のものになった事だし。そんな頼りないマジョリカなんて貴方も嫌でしょ〜?私の養子になりなさいな〜!そしたら貴方だけは、この魔法堂に住む事を許すわ。」


…………。

住むことを許す…だと…。


「何よ、それ!!」

「ライムちゃんをなんやと思ってるんや!!人を馬鹿にするのも大概にし!!」

「そうよッ!貴方なんかよりマジョリカの方が何倍もライムちゃんの事を思ってるわ!!」

「おだまり!!で、どうするんだい?」


…なにを思い違いしているんだ…

こんな私を家族だと受け入れてくれているリカとララがいるから、私はここにいる。

リカ達がいないこの店になど、興味はない…


「私も馬鹿にされたものだ。…お前になど興味ない。失せろ。」


殺気を飛ばした途端に、その魔女は全身を震えさせ、叫びながら店に慌てて入っていった。

その姿を見ながら、春風さん達は高笑いしていた。


「べーッ!いい気味!」

「ライムちゃん、よう言うてくれたわ!」

「流石ライムちゃんね!」


………。

前々から思っていたが、この子達は私の殺気を浴びてもどうもないのだろうか…。

…思うところはあるが、とりあえず私達は近くの公園まで移動した。


「ね…マジョルカって一体何者なの?」

「しかも、次の女王ってどういう事やねん?」

「マジョルカっていうのは、マジョリカの魔女学校時代の同級生なの。」


どうやら、あの魔女マジョルカはリカのライバルで、次期女王をかけて争っているらしい。


「…あの店で稼いだ金を、次の女王選の資金に当てようと思っていたが…このザマじゃ…。」

「…とりあえず、ライムと一緒に魔女界に帰るしかないわね…。」

「そんなッ!」

「此処にいてララ…。」

「でも…住むところもないし…。」


皆が下を俯く中、私の携帯が鳴りだした。


「…はい。」

「あ、ライムちゃん?さっき頼まれてた件だけどね…」

「ッ…ありがとうございます。」

「いいっていいって。決まったら社長に連絡してね。じゃ。」


ブチ


電話を切ると、皆と目があった。

この状況で何かアクションを起こしている私の行動が気になったのだろう。

何か解決策があったのかという期待の視線に答えた。


「…リカ、ララ…住むところ…手配できたよ。」


「「「「「ほん(と、ま)!?」」」」」


皆んながグイグイ顔を近づけてくる迫力に、若干引いて後退る。


「…う、うん。社員が住むマンションにしばらく住んでいいって…。」

「さっきの電話は、その返事?」

「…うん。」

「…なんで、こんなにタイミングよく?」


実は、仕事を切り上げる前にこうなることを予想して櫻井さんに事前に聞いておいたのだ。

櫻井さんは、快く手続きをしておくと言ってくれたのだが…

こんなに速いとは…

事情を説明すると春風さん達は、驚愕しだす。


「…ライムって、こんなに先のことまで見てるのね…」

「凄いやん!やっぱライムちゃんや!」

「益々尊敬しちゃう〜!❤」

「「ライムーー!!」」


リカとララは、泣きながら私の方に飛んでき、そんな二人を優しく撫でた。

そして私達は解散し、新しい新居に移動して待ち合わせしていた櫻井さんとあった。

マンションの中を説明してくれている櫻井さんの後ろをついていく。

勿論、リカ達は隠れているが。


「部屋の説明は以上だけど、何か困った事があったら何時でも言うんだよ?」

「…はい。何時もありがとうございます。」


そして櫻井さんは、私の頭を撫でて帰っていった。


「あの人がライムのマネージャーなのね。いい人みたいだし良かったわ〜。」

「暫く、世話になるぞ。」

「…うん。」


各部屋を決めてそれぞれがマンション内を興味津々と探る中、私はある一室に行く。

ここなら…大丈夫…

私は、この空間からある空間を探しだすため、扉に手を当てて目を瞑る。

…見つけた…

探しもとめていた空間とこの空間を、私の力の一つ【バース】で繋ぎ合せた。


「…これは…もしや…。」


繋げた空間に馴染みのあるリカ達が気づき、慌ててその場に駆けつけてきた。

それもそのはず。


「…魔女界への扉…ライムが繋げたのか?」

「…うん。…ないと…あの子達もリカ達も困るでしょ?」

「ッ!…ライムッ…!」


リカは、また私の方に飛んで来だした。


「お前は、本当に儂の自慢の子じゃッ!…なんていい子なんじゃ!ありがとうの!」

「…リカ。」


…よかった。

少しでもリカの役に立てて。

先程までの落ち込みようは見るに耐えなかったから…。


「…でも、よく魔女界とのゲートを繋げられたはね。流石ライムね!私達には、勿体ないぐらい凄い子だわ!」


私の力には幾つかあるが、この力は前の次元で身についていた念の一つ。

特質系に分類されるらしい私の力は、発動条件さえ揃えばコントロールがとれる。

バースの発動条件は、私の創造力が鮮明であること。

元々時空管理人という立場から、空間の特徴を一度行っただけで覚えるため、魔女界の独特の雰囲気を思い浮かべれば空間を探すことはたわいもない。

リカ同様、飛んできたララも抱える。


「…そんな事ないよ…リカやララと出会って私は変われた…お礼を言いたいのは私の方だよ。リカ、ララ…側にいてくれて…私と出会ってくれて、ありがとう…。」

「「ライムーーーー!!」」


二人は、また私の腕の中で大泣きしたのだった。
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