銀魂

□第7章:君の事、気にいっちゃった☆
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唯今ルカは、万事屋にて爆睡中。

そんなルカを新八達が見守る中、銀時は息抜きに街を散歩することにした。

暫くして帰ってきたと思えば、何日も風呂に入っていないような少年を連れて戻ってきたのだ。


「・・・誰ですか、その子?」

「あ?まぁ、後で話すわ。それよりルカはまだ寝てるか?」

「いえ、ルカちゃんならもう「パパ!」


銀時の声を聞きつけたルカは、走って抱きついた。

そんなルカを銀時もしゃがんで抱きしめる。


「いい子にしてたか?」

「あい!」


そんな二人を見て少年は目を見開いている。


「・・・あんた、子供いたの?全然見えね…。てか、子供いるなら幼気な少年にたかるなよな!」

「何甘ったれたこと言ってんの?取られたら取り返す。そんな餓鬼でも知ってることを「それ教育上間違ってますからね。」あ、ルカはそんな子になっちゃだめだぞ。」

「あい!」

「あんたも間違ってるって自覚してんじゃないのォ!!」

「ったく、ぎゃあぎゃあとうるせぇ奴。いいから神楽呼んでこい。ババアのところで飯たかるぞ。」


そうしてルカを抱えた銀時は、少年と新八達と共にスナックお登勢に移動するが、少年の事情を聞いたお登勢とキャサリンは大爆笑しだした。


「「ギャハハハッハハハハ!!」」

「こんなチンチクリンが吉原一の女を落とすって?」

「ガキがハツジョウしてんじゃないよ!ウチにカエッテカアちゃんのチチでものんでな!」

「笑い事じゃないですよ。抵当6時ですよ。そんな事が許されると思ってんですか?」

「硬いこというなヨ、新八。ガキに先越されてあせってるアルか?」


ギクッ!


「ち、違うよ!!ルカちゃんの前だし、そんな話はやめようって言ってんの!」

「ルカをだしにするとは、新八の癖に生意気ネ。」


この馬鹿にされてる少年、名を晴太という。

晴太は自分の事を言われているというのに、ずっと銀時の膝に座っているルカに視線を送っていた。

それに気づかず、ハムハムと可愛らしくお登勢が用意してくれた食事を食べているルカ。

晴太は頬を赤らめ、何処か心ここにあらず。

目をトロンとさせて、一点にルカを見続けている。

そんな晴太の視線に気づいた銀時は、顔をニヤつかせだした。


「何?お前、日輪太夫の次はうちの子に惚れたってか?ませガキが。うちの子に目をつけるなんざぁ、1000万年早いわァァァァァ!!」

「そ、そんなんじゃ「え?!そうなの、晴太君?!」

「このどすけべガァァ!!私のルカに指一本でも触れてみろ?地獄見せるぞ!」

「神楽ちゃん、キャラ変わってるよ。」

「そんなんじゃないってぇ!!ただ、あんたとその子があんまりにも似てないから見てただけだって!」

「そんな事、言っちゃって〜。本当はルカに惚れたんだろ?正直に言ってみ?今なら許してやるからよ。」

「あんた、さっきと言ってる事が違うでしょォォォォ!!」

「・・そんなんじゃ・・・そんなんじゃないよ。確かに綺麗だなって思ったけど、ただ・・なんか、その子を見てると・・スッと気持ちが落ち着くんだよ・・・。」


その晴太の気持ちがなんとなく理解出来る銀時達は黙って聞き、ルカを見つめだす。

その視線に漸く気づいたルカは、何を思ったのか食べている料理を銀時に渡しだした。


「いっしょ、たべよう!」


とても優しい顔で言っているルカ。

どうやらルカは、皆が食べ物を欲しがっていると思ったのだろう。


「パパ〜、あーん。」

「あーん。・・・美味いな。」

「あい!」


そして今度は隣に座る晴太に同じように、スプーンに乗せたまま渡してきた。


「え・・おいらにもくれるのか?」


晴太はそんなルカの行動に驚きを隠せないでいる。


「あい!あーん。」


ルカが差し伸べてくるスプーンは、銀時が先程口にしたもの。

所謂これは間接キスになる。

おっさんと間接キスなんてしたくない晴太だが、こんなに純粋に進めてくる子の期待を裏切る訳にもいかないと、内心で葛藤を繰り広げていた。

最終的に良心が勝ち、晴太は食べる事にした。

だが。


「あー「ゆるしませェェェェェんんん!!」ドブシッ!


やっとの思いで決意した晴太の顔に張り手をくらわせる。


「ルカと間接キスなんて・・・お父さんは許しませんンン!!」


えっ・・。そっち・・?

確かに先程まではルカが食べていたから、あながち間違ってもいないが。


「こっちだってな、あんたみたいないい歳こいてパフェなんか食べてる奴と同じスプーンで食べたくなんかないやい!!」

「ッハ。こっちだってな、可愛いルカの唾液を飲ませるなん「オイィィィィィ!!あんたがいうと卑猥に聞こえるからァァ!!ルカちゃんの前で言うのだけは止めてェェ!!」わぁったよ。だがな、ルカと間接キスしていいのはこの俺だけ「あんたただの変態だよォォ!ロリコン道まっしぐらだよぉ!」

「何言ってんだ?俺とルカは血は繋がっていないが、立派な親子だろ?親子は何でも認め合い、共有し合うものだ。皿しかり、歯磨きしかり「歯磨きしかりじゃねぇよォ!」


張り倒された晴太は、そんな二人をじっと見ていた。


「・・・親子って・・・血が繋がってなくても、親子って言えるのかな・・・。」


言い合っている二人は、そんな晴太の言葉に言い合いを止めた。

何処か沈んでいる晴太。


「当たり前だ。俺には、家族ってもんがどんなものかなんて分かりはしなかったが、今なら何となく分かる気がする。血なんて関係ねぇ。そいつをルカが教えてくれたからな。」

「そうなんだ・・・。そうだよな!俺も血が繋がっていない爺ちゃんと一緒に暮らしてたんだ。」


その後、晴太は自分の身の上話を話しだす。

何でも唯一身寄りの祖父が亡くなり、そんな祖父が昔母親は吉原にいると言ったらしい。

その母親が晴太を闇から逃すために、祖父に託したのだと。

その特徴が日輪太夫なのだと。


「・・・母ちゃんかもしれないんだ・・・。あの人、俺の母ちゃんかもしれないんだ!!・・・会って、話がしたいんだ!!でも、何度も呼びかけても叫んでも・・・あの人は・・おいらの方を見ようともしない!手なんてまるで届かないんだ・・・。だから、おいら・・・例え一時でもあの人に会おうと・・・客として会おうって!必死にお金を手に入れようと、何でもやった!泥棒みたいな、馬鹿なまねまで・・・。」


そう言いながら、涙を流す晴太。

だがそんな事をして手に入れたお金で会いに来たと知れば、母親も悲しむ。

それをお登勢に言われて気づいた晴太。

お登勢はここで働きなと手を差し伸べたのだ。


「・・・ありがとう・・ございます。」


お登勢の心使いに心打たれた晴太は、静かに涙を流した。

そうと決まれば、晴太はタマに連れて行かれ、体全身を洗われ、綺麗になった服を着て店を手伝うことになった。

晴太は真面目に、それは楽しそうに働いている。


「せいにぃ!」


偶に銀時が連れてくるルカの相手をするのも日課なのだ。


「いらっしゃい、ルカちゃん!」

「せいにぃ!あそぼ!」

「いいよ。でも、これが終わってからね!」

「あい!」


二人はすっかり仲良くなり、仲のいい兄妹のようにも見えることから癒しの存在として客にも評判がいいのだ。

ま、若干一名面白くなさげに見ているものもいたが、もう言わずとも分かるだろう。

何かにしろ二人を離そうと模索している銀時だが、お登勢に毎回怒られている訳だ。

そんなある日、銀時はルカをお登勢に預けて吉原に赴いていた。

通りかかった団子屋にちょうど、晴太がお金を預けていた男がいた。

話を聞くと、その男晴太のお金を貯めるどころか使いこんでいたらしい。

だがそれを聞いた銀時は特に驚きもしない。

ただ胸糞悪いそいつを殴り倒したが。

そのせいで団子屋に成りすました吉原の自警団百華から攻撃をくらってしまう。

攻撃を避け、返り討ちにするがそれが原因で狙われる羽目になった。

ちょうどお金を払いに来ていた晴太とそれに付き添う新八と神楽も此処、吉原に来ていた。

内部の情報を聞き出すために、花魁の格好をしていた。

そこで晴太のお金が使い込まれていた事を晴太自身も知ることとなる。

そんな時、百華の頭である月詠が攻撃を仕掛けてきた。

それを避けたのはいいが、月詠を中心に百華が集まりだし、状況は悪化する。

一斉に攻撃を仕掛けてきてクナイが雨の如く降り注がれる中、新八達を守るようにして全て弾いたのは銀時であった。

・・・いや、全てではないな・・・。

頭と手の甲に刺さってはいたが、月詠が気を使って刺さってないように促してくれている。

敵に気を使われたのがショックのようで、銀時は更に落ち込みだす。

まぁ、そんなこんなで新八の助言もあり、晴太を身を呈して庇ったという事にしたのだが、その肝心な晴太の頭にクナイが刺さって倒れていた。


「・・・せい・・た・・。」

「ウソ・・・え・・・嘘!」

「晴太・・・晴太ァァ!!」

「銀さん!ちょ、これっ!これェェェェェェ!!」


暫く黙った銀時は全てを百華のせいにしだす。

だが実際は銀時が弾いたクナイが刺さったようで、それを百華が見ていた。

全て銀時のせいであった。

銀時は冷や汗を出しながら、全てなかったことにして百華を攻めだした。

そんな銀時を庇うように月詠が晴太を殺したということにしてくれたのだが、気を使われすぎて銀時はついに泣きべそになる。

正直言ってウザイ。

二人は自分のせいで晴太が死んだと言い合いだし、最終的には月詠にクナイを頭に投げられて幕を閉じた。

他の二人も胸にクナイを投げられ、その場に倒れる。


「奴らは全員わっちが始末しんした。そう鳳仙様に伝えなんし。後始末はわっちがしておく。」


それを聞き、百華達はその場を去ったが月詠は誰もいなくなったところで銀時達に刺さっているクナイを抜いた。

いや、とったいうのが正しいか。

そのクナイ、実は吸盤でくっつくものであったのだ。


「おい!起きなんし。さっさとせんと、今度は本物のクナイを叩きこむぞ。」

「・・・あり?生きてる。」
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