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□第二章:戦災孤児と神子
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月日が経つのは速いもので、あれから数百年が過ぎ、饕餮達と様々な国を旅してきた。
陽の象徴である白龍を中心に様々な神が誕生し、この世のバランスは保たれつつある。
だが、今は乱世…
いつその均衡が崩れても可笑しくない。
白龍が各地を回り、浄化しているとはいえ、大地は次々に荒れていき、瘴気や怨念で溢れかえっており、全ての地に行き届けていないのが現状である。
白龍や神々だけにこの地の浄化を任せるのは忍びない故、ラピスは各地を回りながら共に浄化しているのだ。
ま、他にも旅の目的はあるのだが。
各地の安定の為に土地神を充ててはいるも、神々の力はまだまだ弱い。
それは乱世である今の時代に、神を信仰しているものは少ない為である。
もし、願われたとしても今の世の神々に人の理まで変えれる力を持った神など、ラピス以外にいないのだ。
そんな世で、人々が神に信仰心を送るなどないに等しい。
神はそこにいるだけでその土地の気は漲り、陽の気となるため、神の存在を無くすわけにはいかない。
いや、ラピスが失いたくないのだ。
神々に「己の身を第一に考え、守るように」と告げ、絶対に無理をさせない。
代わりにラピスが戦場跡地を浄化し、人々の願いを叶えていく約束をたてた。
だが、ラピスはこの次元の神ではない。
全ての次元の最高神であるが故、無闇やたらに神以外の人の願いを叶える訳にはいかない。
この世の理を曲げてしまう恐れが充分にあるのだ。
それは生態系に異常をきたし、大惨事にもなり兼ねない。
かといってこのままでは次々に命が失われ、神々も消えてしまう恐れがある。
どうしたものかと悩んだ末にラピスはあるルールを造った。
そのルールとは等価交換である。
願いの者とそれに等しいものを相手から頂くことで、契約成立とすることを決めたのだ。
等価交換は人にだけ当てはめるものとし、霊魂などには別の条件を付けた。
死してなお、純粋な心で強く願う者には対価はとらずに叶えると。
またこの乱世の世では、力のない子供達が犠牲になりやすい。
子供は国の宝だ。
子供達がいなくなれば、この世を変えてくれる人がいなくなってしまう。
それだけは変えなければならない。
子供は7歳までは神の子と呼ばれ、神の元に連れて行かれやすいとされている為、7歳までは無条件で助けるという掟を造った。
もし助けた子が孤児の場合は助けたとしてもまた狙われる恐れがあるため、7歳までは責任を持って育て、7歳になれば共に過ごした時間の記憶は残し、ラピスだけの記憶を消すというルールを創り、このルールのもと自由に人の世に手を貸すとこの大地に契約をかわす。
7歳になり、例外がなければ信用のおける家庭に養子にだし、人として過ごさせる。
もし人の身で神に育てられたという記憶があれば、その者の理を曲げてしまうのではないかと恐ろしかったためである。
よってそれを条件にし、もし自信が掟を破れば、破った都度に何かが起こる。
その何かとは、その時になって見ないと分からない契約を結んだ。
ラピスは、各国の山にある四神の社を拠点としている。
そして各土地神が住む社に赴き、土地神の神気を高めて回っているのだ。