銀魂

□第2章:俺の子だが、何か問題でも?
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夜が明け、銀時は何時も感じる温もりがないことに気づき、目を覚ました。


「・・・ん・・・・さむっ!!・・・あれ、ルカ・・・。どこ行った?・・トイレか?」


ついでに時計をみるともう昼近くであったため、そのまま起きて洗面所に向かう。

歯磨きをしていると神楽も起きてきた。


「ふぁ〜・・・。おはよう、銀ちゃん・・・。」

「あぁ。おい神楽、ルカ知らねぇ?」

「知らないヨ・・・。銀ちゃんと一緒に寝たんじゃないのカ?」

「一緒に寝はしたが、起きたらいなかったんだよ。やっぱり、トイレか?」

「そっか〜。あり?でも私、今トイレから出てきたようナ・・・。デジャブ?」

「何処がだよ。そういうのは夢遊病っていうんだよ。」

「それネそれ!」

「馬鹿だな〜。「「ハッハハハッハハハ。」」

「「・・・・・・・・・・。」」


そして気づいた。

ルカがいないことに。


「ルカーーーーーーーーー!!」

「何処に行ったネェェェェェ!!」


二人は押入れや風呂の中、食器棚の中、机の下、最終的には冷蔵庫の中まで探すが見つからない。


「何処にもいないヨ!!銀ちゃんが悪いネ!加齢臭纏わせやがってェェェ!!」

「俺の何処が臭いんだよォォ!!ルカはな、俺の全てが好きなの!俺から離れたりしないの!」

「どこから来るネ!その自信!!とにかく、責任とるヨロシ!!」


そんな言い争っている所に新八が来た。


「おはようございま〜「死ねェェェェェ!!」ドフッ!!」


神楽の攻撃が新八にあたるも、神楽の攻撃は止まない。


「銀ちゃんのせいネ!ルカ、返すヨロシ!!」

「オイ、待てって!!きっとババアのところにでもいるって「問答無用ネェェェェェェ!!」ドブッ!!」


神楽の蹴りで吹っ飛んだ銀時に追い打ちをかけるようにして殴りだす。

そんな神楽を新八が後ろから止めた。


「ちょ!何があったんですか?!」

「離すネ、新八!!こいつのダメさ加減にルカが家出したヨ!!」

「ナニィィィィィ!!」


その後、銀時の命懸けの説得で事情を説明させてもらい、新八も理解できた。


「成る程・・・。兎に角、ルカちゃんを探しましょう。先ずは、お登勢さんのところですよ!」


だが、そんな三人の願いも儚く散った。

お登勢のところにもルカはいない。

手分けして歌舞伎町中を手当たり次第探すが見つからない。


「・・ったく・・。何処に行ったんだ・・・。」

「・・・ルカ・・、きっと今頃泣いてるヨ。」

「・・・これだけ探していないってなると、人攫いにあったとしか・・・。」


新八のその言葉で二人は最悪の状況を浮かべて、冷や汗をかきだす。


「やべーぞ・・・。とりあえず、探すぞ!!何かしら情報が「ほ〜ら高い高い〜!!ルカは軽いな〜!まるで天使のようだ!」「きゃっきゃ!たかいたかい!」・・・・。」


銀時達の前にタイミングよく、探し人が現れた。


「「「テメェェが誘拐犯かァァァァァ!!」」」


三人は、ルカを抱えている桂に同時に飛び蹴りをかます。

桂は地面に埋まってしまうが、ルカだけはしっかり守り、埋まらないように支えていた。


「ルカ〜!!無事だったネ〜!!」

「よかったー!!」


新八と神楽はルカを抱えて頬ずりしだす。

埋まっている桂の元に、銀時が洞爺湖を片手に殺気をプンプン出しながら歩く。


「覚悟はできてんだろうな?ズラ。」

「ヅラじゃない!桂だ!!・・・覚悟とは何のことだ?俺はただルカと遊んでいただけだが。」

「此の期に及んで言い訳とは、見苦しいぞ。うちの子を誑かすつもりでいたんだろうが、そうはいかねぇぞ。」

「うちの子だと?はッ!何を馬鹿なことを。ルカは俺の子だ!」

「「「・・・・は?」」」


三人とも沈黙である。

衝撃的すぎて、自分の耳を疑ってしまったのだ。


「・・・え・・・桂・・今なんて言った?」

「ふふふ。驚くのも無理はない。ルカは俺の子なのだ!」

「数の子アルか?」

「違う!!俺の子だと言ったんだ!」

「「「・・・・・・・。・・・はァァァァァァァァァァ!?!?」」」


今迄探していたルカの親が桂だったという事もだが、桂にこんな可愛い子がいたという事実に驚きである。


「あんた子供なんていたんかいィィィィィ!!嘘でしょォォォォ!!」

「そうネ!桂に全く似てないヨ!!」

「本当のことだ!!嘘だと思うなら見ていろ。ルカ、おいで〜。」


桂はしゃがみこみ、両腕を広げてルカが飛び込んでくるように促している。

呼ばれたルカは嬉しそうに笑い、桂の元に走り、そのまま抱きつく。


「パパ〜!」

「お〜!よしよし。ほらみろ!事実であろう?」

「・・ほんとに桂さんの子供・・・・。」

「まじか・・・。」


新八と神楽は衝撃的事実にただ驚愕し、楽しそうに回っているルカたちを見るしか出来ないでいる。

だが、そんな中銀時だけは何かに気づいたようで、違う反応をしだした。


「・・・ルカ、来い。」


そう言ってルカを呼ぶ銀時。

ルカは桂から離れて呼ばれた銀時の元に行き、足に抱きつく。


「パパ!」


"やっぱりな。"


抱きつくルカを抱えて頭を撫でる銀時。

桂は状況が飲み込めないでいる。


「・・一体これは・・・。」

「・・・・どうやら、俺とヅラはルカにとってのパパみたいだな。」

「なんだそれは!?俺以外が父親だなんて認めんぞ!」

「認めないもないも、ルカの中ではそうなんだろうよ。」


銀時達はルカと出会った経緯や本物の親を探していることを桂に告げる。


「事情はわかった・・・。だが、この子の父親ポジションは誰にも譲らん!!」

「あんたもしつこいなァァ!!だから、いってるでしょ?ポジションどうこうじゃなくて、本当の親がいるんですって。」

「でも、親がいるなら何日も帰ってこない子供を捜索依頼すら出していないなんて可笑しいネ!」

「クソ警察からもそれらしき連絡も来ないしな。」

「では、尚更俺が育てる!そんな薄情な親はいてもこの子を悲しませるだけだ!」

「・・・お前、えらくルカの父親ポジションに拘るな。何かあったのか?」

「ふんッ。銀時、お前がそれをいうのか?一番ルカの事を思っているお前が。」

「・・・そうだな。」

「う?」


桂も気づいたのだ。

銀時がルカを見る目の意味に。

銀時は抱えているルカを愛おしそうに撫でている。


「・・・どんな奴らからも、此奴だけは守ってやりたんだよ・・・。」

「・・・ッフン!それは俺もだ。」


二人から撫でられるルカは、満面の笑みを浮かべてそれぞれに抱きつく。


「パパ〜!大好き〜!」

「「俺もだよ。」」


そして銀時と桂は、どちらがルカを預かるかで言い合いだし、最終的には取り合いだしたのだ。


「だから!俺が育てるって!」

「い〜や!お前は子育てなんてろくにした事がないだろうが!?」

「それはお前もだろうが!!」

「大体、ろくに仕事もしないで甘いものばかり食べるお前に、子供が育てられるとは思えん!!」

「甘党は関係ありませェ〜ん!ルカは俺の側にいたがってるんだよ!」

「それは俺の方にだ!俺なら女役も出来るしな!お母さんもお父さんも併用できるという訳だ!」

「バカヤロォォォォ!俺にも出来るわ!俺が女装した方が、カマッコクラブの売り上げがいいの知らないだろ?」

「そんな事はない!!俺のヅラ子としての魅力は天下一だ!」

「じゃ、どっちの女装がいいか。ルカに決めてもらおうぜェ!」

「よし分かった!受けてたつ!」


何故か引き取るという話から、女装大会になってしまい、公園のど真ん中で堂々と着替えだした。

そしてルカの前に化粧までした二人が現れた。


「「どっちがいいかしら?」」 ドガスッ!ドゲシッ!


そんな二人を新八と神楽が蹴り飛ばした。


「ルカに変なもの見せんじゃネェェェ!!」

「こんなお父さん、願い下げだわァァァァァァァァ!!」

「ルカ、近づいたらおかま菌がつくネ!こっちにおいで。」


神楽がルカを離そうとしたが、ルカは埋もれている二人から離れようとせず、それどころか二人の元に移動した。


「パパ?」


ルカは二人の頭を撫でる。


「・・・ルカ・・・。」

「・・・俺たちを心配してくれるのか?なんていいこだろうか・・・。なぁ、銀時・・・。」

「・・・あぁ。」

「いたいの?」

「大丈夫だ。ルカを見たら痛さなんて吹き飛んださ。」


ルカを抱きしめるために、埋もれていた桂がいつのまにか這い上がっていた。


「よかった!」


そんなルカを見て、二人はどっちが引き取るかなんてどうでもよくなっていた。


"此奴を見てると、不思議と落ち着くんだよな・・・。"

"なんていい子なんだ!流石俺の子だ!"


二人がそれぞれの事を想っている時、こちらに役人が走ってくるのが見えた。


「お前ら!お前らが変態プレイを幼女に強制させている連中か?!ご近所から通報があったぞ!」

「ちょ!待ってください!確かに馬鹿な事をしてましたけど、別に強制させてた訳じゃ。」


新八が役人を止めたが、見るからに通報通りな二人に聞く耳を持たない。


「いいから、この子は預かるからね!!お嬢ちゃん、叔父さんと安全なところに行こうか?」


役人はルカの手を握り、無理矢理連れて行こうとしている。


「・・パパ・・・。」


手を引かれながらも、ルカはとても悲しそうな表情で桂と銀時の方を見ている。


「パパ?あんな奴らがパパだなんてありえないでしょ?いいから行くよ。」


そのまま役人がルカを連れて行こうとしたが、いつのまにか土から這い上がっていた銀時が役人の前に現れた。


「おいおい。嫌がる其奴が分かんねぇのか?大したお役人だ。」

「な!なんだと!!この俺を愚弄する気か、貴様!?」

「愚弄?そんなもん・・・。」

「「してるはボケェェェェェ!!」」


役人は二人によって殴られ、地面に埋め込まれた。

そんな役人の前に二人は行き、見下ろす。


「「俺が親だが、何か文句でも?」」


二人からは殺気しか感じられず、役人は悲鳴とともに泡を吹きながら気絶してしまった。


「パパ!」


ルカは満面の笑みで二人に手を伸ばす。

それに応えるかのように二人はルカを抱えた。


「「帰ろうか。」」

「あい!」
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