コスモスの贈物(おりじなる)
□〜第三章〜
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「実!/実くん!」
「……母さん、春来…」
家に着くなり母さんと春来は慌てて駆け寄ってきた。
母さんに至ってはハンカチを手に持ちながら震える体で抱きしめてきた。
「…母さん、父さんは…?」
「…みの…っる……」
「うぅ…うわあぁぁぁん」
何故か僕は冷静だった。父さんの居場所を聞いたが、母さんは泣きながら僕の名前を言うだけ。
春来も立ちすくんだままポロポロと涙を流し、大声を上げて泣いた。
やっぱり…父さんは…っ
ここにきて僕はやっと確実した。確実せざるを得なかった。
いままで僕の中で駆け巡り、最後まで拒んだこの感情と事実は、今になってやっと表に出ることができた。
僕は気がつくと涙を流していた。
「……1人に、させて」
「っ、実ッ…!」
僕は朧な目で二階の自分の部屋に入った。
入った間先に僕が向かったのはベッド。ベッドに身を任せるように勢いよく倒れ込み、枕に力を込める。
父さん……っ
「うっ……うぅ…ッ…くぅッ……」
思い出すのは走馬灯にも似たもの。しかしそれは父さんとのつまらない会話や、叱られた時の様子だらけ。もっと、一緒に遊んだ記憶や、プレゼントをくれた時の事や、褒めてくれた時の事だって沢山あるはずなのに…
それと同時に、ふと、今日の夢で見た、昔父さんが言った言葉を思い出す。
我慢しないで泣きたい時は思いっきり泣け、実。そして強くなれーー。
「〜〜ッ!…うわあぁぁん、あぁぁ…!う"っ……く…ッ…っ」
僕は思いっきり泣いた。
悲鳴にも似た声で……。