コスモスの贈物(おりじなる)

□〜第一章〜
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あれは、俺がまだ小学校6年生だった頃のことーー。

アイツは突然俺の前に現れた。


俺は昔から引っ込み思案な性格で、幼稚園の時から苛められていた。
頭も悪く、運動もできないときたら苛めるにはいい鴨だったのかもしれない…
でもそんな俺にも唯一好きなことがあった。それは花だ。
花を見るといつも元気になれた。

苛められてる事は親には言えなかった。言えるはずもなかった。
学校で自分の子供が苛められているなど、聞きたい親がいるのだろうか。

それに、俺の母親は、自分で言うのもなんだけど、、優しくて、他人のことを信じやすく疑うということを知らない、そんな甘い人だった。
だからこそ脆かった…。

俺が一歳の時、1度迷子になったことがある。
でも俺はただおじいちゃんと遊んでいたつもりだった。
もちろん、その日のうちにおじいちゃんによって家まで送ってもらった。
たったのそれだけのことなのに母さんは泣いていた。
目を真っ赤にして……

俺はその時のことなどあまり覚えていないが、母さんの泣き顔だけは未だはっきりと、脳内に残っている。

顔をくしゃくしゃにして泣きじゃくる母さんの顔を……。

だから俺はいつも一人でこっそり泣いていた。
心配させたくなかったから……
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