ハイキュー 黒尾

□遠い日 2年の記憶
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「ミーンミンミンミンミンミーン」



蝉の音が鳴り響く真夏の昼下がり

遥香たちバレー部は遠征練習試合のため東北に来ていた









「キャーーーー及川くん♪」
「キャー及川〜写真一緒に撮って〜」
「及川先輩〜今日は女バレーの応援に来たんですね♪」
「一緒に応援しましょ〜♪」
「キャーーー」







『……応援席なのに』

『......何あいつ?
見ていて暑苦しいんだけど』



練習試合のため東北の学校青葉城西にやってきた 遥香たち

青葉城西の応援席で女子たちに囲まれている男子を発見した





『どこの学校にもモテ男はいるのね』

『ってか夏休みなのに何この人?
応援のためにきてるの?』




『青葉城西強豪校だから応援もアツいんじゃない?
それにしてもあのアツ苦しい彼は何?』




『さぁ〜
音駒の藤四郎くんみたいだね
どっちがイケてるかな?』


比べようとする安加






『藤四郎くんはクールビューティで控えめでしょ?
青葉城西の彼は......何か自分に自信ありそうな雰囲気だしてるよね
いわゆるナルシストイケメン』


青葉城西の及川をじっくり観察する佳苗







『私チャラい人嫌い』


『 遥香でも、藤四郎くんはチャラくないよ』






『何で名古屋くんの名前が出てくる?』



『遥香は藤四郎くんもチャラいの分類に入れてる気がしたから』



『まぁ、間違ってはないよ』



『ねぇ! 遥香は藤四郎くんはダメなの?』


遥香の顔を除き込むように質問してきた佳苗





『何でよ』



『だってあの藤四郎くんが、こないだのカラオケの時に 遥香に「練習試合応援に来て!」って言ってたじゃぁん』



『あれは私だけじゃなくて皆にでしょ』



『違うよ!! 遥香に面と向かって言ってたじゃぁん』


『それは佳苗に私も同感
藤四郎くん遥香にはよく話すし』


『接しやすいからでしょ』








『ほら!そこ!
さっさとユニホーム着替えてウォーミングアップして試合始めるわよ?』



先輩が遥香たちに声を掛けた





『は〜い』













......





試合が始まってすぐに動き出したのは音駒高校であった







「バチーーーーーん.....ドド」

『クッ......また9番』


青葉城西の選手がスパイクを打つが、軽々しく 遥香がブロックして止めた


「ピッ」








『〜♪』




......木兎のスパイクに比べたら大したことない



全国レベル男子たちのスパイクに慣れた遥香にとって、女子たちのスパイクは止めやすかった




『 #NAME1##ナイスブロック!』

『凄いじゃぁん!ドカドカ止めて
この調子で頼んだわよ!!』


『はい!!』


練習の成果が嬉しい遥香











『やはり駒井をリベロからスパイカーにして正解だな』


感心する音駒女子バレー部コーチ







…駒井は相手のブロックを物ともせずに思いっきり打ちぬく勇気がある
それにスパイクのコントロール力がある
猫又監督は数週間彼女を観察しただけで、彼女の秘めた実力を活かせるポジションを見つけた



…さすが、名監督

















『音駒はあまり背の高い選手はいないけど、ボールを吸い付くようにブロックするわね...特にあの9番』


『音駒はレシーブもしなやかでホームが綺麗だし、粘り強い』



『攻撃が上手く決まらない......でも私たちも負けてられないわよ!!』




反対側コートの青葉城西の選手たちも反撃を開始した






「ピッ」


「バチーーーーーん」












「ピッピーーーッ!!!!!」



ファイナルセットまで試合は長引きデュースも続いたが、結果は音駒の勝利で終わった





『はぁ.....はぁ......はぁ』



......何て安定感と柔軟性があるチーム
男顔負けの力強いスパイクも打ってくるし






......とてもいい練習になった




音駒と青葉城西の選手たちが整列し、挨拶を終えると
体育館2階観客席から大きな拍手が湧いた





ベンチに戻りタオルで汗をふく遥香




『ふぅ〜......あちぃ〜』



......指、痛むな



痛む手を確認する遥香
恐らく力強いスパイクをブロックしていたので突き指をしたようだ




『では、コートを片付けますので
皆さん手伝ってください〜』



『はーい』
『はい!』



音駒と青葉城西選手たちで協力し、体育館のバレーコートを片付け始めた


遥香はベンチに座り、1人突き指した指にテーピングを巻き始めた







































『ねぇ〜東京から来た君〜☆』



「ベリ」

『.......』

テーピングを巻き続ける 遥香







『君だよ〜君!
テーピング巻いてる子〜☆』










『はい』


青葉城西の男子生徒に声をかけられていることに、ようやく気づいた遥香





『君〜女の子なのに力強いブロックで強烈なスパイク止めまくってて凄かったよ〜♪』





『ど....どうも』


.......何この人の喋り方


話しかけてきた男性に少し引き気味の遥香





『まるで壁だよね〜☆
君、レシーブホームも綺麗だし
思わず声を掛けに来ちゃった〜』





先程女子たちに囲まれていた及川と呼ばれていた男が遥香の前に現れた






『え.............

あ...ありがとうございます』




......何だこの人



白い目で及川を見る 遥香










『あれ?何か緊張してる〜?可愛いね♪
及川さん見て緊張しちゃった?』





『.......』




…この人変


更に及川を白い目で見る遥香








『ねぇ〜☆君の名前何て言うの?』


及川が 遥香に名前を訪ねてきた







『..........』


......何この喋り方?!......無理
ってかチャラ!ウザい!


















『遥香〜ネットたたむの手伝って』




『.......でゎ』




タイミングよく呼ばれた遥香は、及川の言葉を無視し、体育館の片付けへ行った






『え!?シカト!!え!ちょっと!』



遥香の背後から及川の焦る声がしたが気にせず片付けへ向かった








『ふぅ…』



…助かった




…危ない人



しばらくして片付けの最中
及川の騒ぐ声がしたので確認してみると、他の男子生徒に投げ飛ばされていた



「うるせぇ!!クソ川!!」

「ぎゃぁーーーっ!!何すんの岩ちゃん酷いよ」

「クソな奴に酷いもねーだろ」







『……』




…その通りだ



…クソ川




…印象的な名前


及川を投げ飛ばした人物の意見に共感していた遥香











片付けを終え、音駒は次の練習試合をする和久南高校へ向かった











2年及川徹
この当時は誰からでもモテると勘違いし、調子に乗っていたので、 遥香に無視され傷付いていた
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