ハイキュー 黒尾

□進級早々 2年の記憶
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音駒高校は男女共に春校の予選敗退のため全国行きを逃してしまった



3年は卒業し、残された者達は
来年度の大会に向け練習をしていた








まもなく 遥香たちは2年に進級する

後輩も入り、いっそう身が引き締まる







春休みを迎える前の放課後練習



遥香がドリンクタンクにポカリを作りに体育館外の水場へやってきた時だった











『ふぅ〜…』



…部活中外の空気を吸いに来るのが1番好きだな








......でも、もうすぐドリンク作りも卒業か




…早く後輩入ってこないかな







〜*。゜




『あ......サクラ』


遥香の手にサクラの花びらが舞い込んできた




今年は例年より暖かい日が続き
とても早い桜であった





サクラの花びらが来た方向を振り向く




!!





『...........』




......黒尾



どこさ寂しそうに桜の木を見ている黒尾がいた

























『クロ』


遥香が呼ぶとゆっくり手を上げた黒尾






『綺麗だな......桜』


『そうだね......でもまだ七部咲きだね』








『俺らと同じだな』



『え?』



『俺らもこの桜の木のように、まだまだ咲き誇れる
今年こそは強豪校の名に掛けて全国へ行く』














『うん!』



『なぁ 遥香知ってるか?
昔の音駒のバレー部のこと?』





『え?…知らない』



『......ごみ捨て場の決戦ってやつを何とか実現したいんだよね』





『ごみ捨て場の決戦??』

思わず聞き返す 遥香



『宮城県にある烏野高校と、うちの音駒高校
因縁のカラスと猫の戦い』





『カラス?猫?』



黒尾の隣に腰を下ろす 遥香






『昔な、男子バレー部の方なんだけど
幾度なく鳥野高校と練習試合を重ねてらしい
でも公式の舞台で兵刃交えることは一度も叶わぬまま、両チームの監督が引退
それを期に両チーム共衰退してしまったそうだ』



『うちの引退した監督って、あの名監督の猫又監督?』


『嗚呼......噂じゃ復活するらしい』




『うそ!本当?!』



『俺さ、実現させてーんだ「ごみ捨て場の戦い」を、、

尊敬する猫又監督の念願....叶えてやりてーんだ』




!!


『クロ……今年は昔から練習共に練習してきた研磨も入るし
監督の夢、叶えてあげれるよ
そのためにも頑張ろうね!!』







『......あたりめーだよ』


笑みを見せる黒尾






『なんかクロと2人きりで話すの久しぶりだね
彼女と別れてもっと落ちてるかと思った』




『……』



『あ!』




……まずかったかな?


黙り込んでしまった黒尾に焦りだす遥香






『なぁ..................前に 遥香が告白された相手の気持ち聞いて、この人なら大好きになれる
..........そう思って付き合ったって言ったよな?』




『......うん』



『俺も前の彼女に告白されて付き合ってみたんだよ
可愛かったし、こいつなら好きになれるって思ったんだけど、俺には無理だった


ずっと前から好きな奴がいるんだ…たぶん今も好き』






『!』








『そいつが他の男と付き合うまで自分の気持ちに気づけなかった』





『そうなんだ…』


…鈍感なんだ



黒尾の話を親身に聞く遥香





『今もその男と付き合ってる
けど忘れられねーんだ』


どこか寂しそうな黒尾






『…』


なぜか胸に苦しみを感じる遥香








『だからあの日(後夜祭の日)、俺はステージに上がらなかった

彼女を思う気持ちの方が強いことに気づいたから』





『…そっか』





『あいつ(元カノ)は、俺らの存在を世間に広めたくって自分に沢山投票してたみたいで
彼女には悪いことしちまったけど、あいつの行動も嫌でな』







『え、そうだったの?』






『やっぱり最初から好きな子じゃないと付き合いたくねー』


じっと 遥香を見つめる黒尾





『そっか......』


…私は坂田先輩が好きなんだよね?







…好きだよね?







『「好き」ってさ、こんなに単純な感情なのに何で恋になると、とたんに難しくなるんだろうな』







!!!


『………』




…恋




…好き












『なぁ…遥香彼氏とは上手く行ってるのか?』








!?!?


『え................まぁ…

そ、それより春休みの合宿準備した?
男子は明日から梟谷高校で合宿でしょ』


彼氏のことを聞かれ少し焦ってしまった遥香




『..................してねーよ』





〜。゜**




『わぁ!!!』


突然、黒尾と 遥香に向け
強い風が吹いた


まだ満開に咲いていない桜も風の勢いで少し散ってしまう




『 遥香......髪にサクラついたぞ』



『え!取って!』


黒尾は 遥香の髪についたサクラの花びらを取ろうとするが.....




『あ......ヤベ
だんご頭に入り込んじまった!』






『............』


すると 遥香は




「バサッ」

ダンゴにしてある髪をほどき
長い髪を下ろした




『ーーー!!!!』


目を見開く黒尾




『花びらが出てきた?』





『お......おう
ちょっと待ってろ』


ゆっくりと手を伸ばし 遥香の髪から花びらを優しく取った黒尾






『取れた』


取った花びらを見せる黒尾






『本当だ♪ありがとう黒尾』


風で乱れた髪を耳にかきあげる遥香







『............』





『明日合宿だよ?少しは焦ってよね』





『お…おう』





『じゃぁ私、戻るね』



立ち上がり体育館へ戻ろうとする遥香








『 遥香っ!!!』



『?』

黒尾に呼ばれ振り替える 遥香







『ん?』



『遥香、今幸せか?』









『え?』








『だから幸せか?って』








『そりゃ〜黒尾たちとバレー
一緒にやれて幸せだよ♩』




『!』


黒尾は彼氏と一緒に居て幸せかどうか質問したつもりであったので
自分の名前が出てくるとは思っていなかった









『………俺も遥香とバレーやれて幸せ』




『よかった!
これからもよろしく頼むよ!』






『遥香
何かあったら......俺に頼れよ』









『ありがとう♪何かあった時はお願い』




体育館へ戻り練習を再開した遥香、黒尾








「バチーーーン」




『……すごい』




隣のコートから黒尾の姿を観察する遥香







『……』



…やっぱり上手いし、綺麗



相変わらず黒尾のフォームはしなやかで綺麗であった





…カッコいいな















『……あれ』


部活中、自然と黒尾ばかりを目で追っていることに気づく遥香





『…』



…ってか黒尾と話せて嬉しかったのかな









…クロが花びらを取ってくれた時






…あいつの指先が触れた









…いつも意地悪な癖に優しかった







…ってか何で聞いてもないのに元カノこと教えてくれたんだろう





まもなく春休みの合宿が男女共に別の日にちで始まり


男子バレー部と新学期まで会わなかった
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