深縁のディスペア


□決戦
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風が冷たい。
喉が渇く。

仮初の町の上空でたたずむ護廷十三隊の隊長格。

決意はすでに固まった。あとは飲み込まれない様にするだけだ。


「……どうやら、間に合ったようじゃの」

空間が割れ、現れた日番谷達。
一護たちを虚圏へおびき寄せ閉じ込めることはすでに予想済みだった。

「間に合った?」

日番谷はいつも通りの嘲笑の表情を浮かべている。

「一体何を持ってその言葉を口にする?
そこにあるのが空座町じゃねえのはわかっている。
だが、それは何の妨げにもなりゃしねえ。
スターク、バラガン、ハリベル、来い」

三つの割れ目から十刃を含む十三隊の破面が現れた。


「計画に何ら支障はない。むしろ好機に転じたくらいだ。
お前たちを殲滅し、尸魂界で王鍵を創る。それだけのことだ」

ふと、日番谷と目があった。
お互い隠してはいたが、内心の気分は最悪だった。
何故とは言わない。喜助の話で大方奴が私のなんなのかはわかっている。
それでも、今は敵。敵は殺すだけよ。



張り詰めた空気と重々しい霊圧がその場を支配する。


「ちィ…ッ、相変わらずバケモンみてえな霊圧してやがるぜ…」

「恐ろしければ逃げても構わんぞ、腰抜け」

「…」

「ここは先ず、頭を叩くんがスジですかいの」

「いや、日番谷の能力を我々は知らない。無策で挑むよりは周りを先に倒すべきだろう」

「…」

「誰が一番強いかな?十刃の中で」

「難しいな…藍染に訊いてみない事には…」

「…」

「問題は、十刃との戦闘中に彼らが手を出さない保証がどこにもないってことよ」

「……ですね」

口々に己の心境を口にする。

「皆、下がっておれ」

突如、言葉と共に総隊長が前へ進んだ。
そして、それと同時に杖が刀へと変わっていく。

「万象一切灰燼と為せ、流刃若火!!」

燃え盛る炎が斬魄刀から吹き上がる。
生き物のように舞った炎は日番谷達を取り囲んだ。
それでも、奴らは至って余裕そうだ。
まあ、戦いに参加してこないだけましか。
ムカつくのは変わらないけど。
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