深縁のディスペア
□拒絶
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「で、どこの教室でしたっけ?」
現世の空座町の高校の廊下で恋次が聞いてきた。
「知らなーい」
と乱菊が即答する。
「いやほら、向こうでるときメモ持ってたじゃないすか」
「あァ、なくしちゃった♡」
「なく……ちょっと! 何してんスか!」
「ガタガタ言うなよ霊圧探りゃいーだろが」
「だって俺、これ入んの初めてなんスよ?
中々霊圧のコントロールが……」
「下手クソですいません」
「下手くそじゃねーよ!
つーか、何でアンタが一番シレッとしてんだよ!」
「しっかし窮屈な服だなァ、おい」
「じゃあ僕たちみたいにスソ出せばいいのに」
「バカ言え!そんなことしたら腰ひもに木刀がさせねえじゃねーか」
徐々に周りが私たちを見る目が同じものになっていく。
ここは本を読みながら気づかないふりをしましょ。
「大体オメーラが真剣は駄目だっつったから俺は木刀で我慢してやったんだぞ!」
「僕らが言ってんじゃないの、法律が言ってんの」
「イミわかんねーよ真剣がダメって! どういう法律だよ!」
「煩いわよ」
少し声を低くして言えば一発で黙った。
最初からそうすればいいのよ。
1−3と書かれた教室のドアを開ける。
「おーす! 元気か一護!」
「……れ……恋次! 一角! 弓親! 乱菊さん! アゲハ!」
思っていたよりは元気ね。
「お前らなんでこっちに……!?」
「上の命令だよ。“『破面(アランカル)』との本格戦闘に備えて、現世に入り死神代行組と合流せよ”ってな!」
「アラン……ってなんだ?」
「あァ!? 何だお前、相手が何者かも知らずに戦ってやがったのかよ!?」
「たわけ! 貴様がこの間ボコボコにやられた連中の事だ!」
ルキアが窓から入り、仁王立ちする。
「……ルキア」
「久しぶりだな、一護!」
「ル、ルキア……」
ルキアは登場早々に一護にとび蹴りをかまし、それを恋次が押さえつけ、数回平手打ちした後、魂魄を引きずって出て行った。
「やっぱりこうなったわね」
「そっスね。まったく世話の妬ける野郎だ……」
「まァ、あんだけ腑抜けた面見せられちゃああしたくもなるだろうぜ」
「そォ? へこんでた顔もあれはあれでそそるもんがあったわよ♡」
「どこが!? そそるもんなんかないね!」
「別にアンタに同意も止めてないわよ、弓親」
「じゃあ誰に同意も止めてんの! 一角?」
「なんでだ馬鹿野郎」
どこまでも煩い連中。
何を言ったところで無駄でしょうね。
人間がこちらを異形な目で見てきた。
怯えながら呟いた単語の中に一角の地雷を踏み、ますます騒がしさが増した。
「……知能の低い馬鹿猿が」
聞こえない様に呟く。