深縁のディスペア
□幕開け
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煩く鳴り響いた警報音。空から降りてきた壁を遠目で見ながら、隊首会が開かれることを地獄蝶で聞く。
「非番の日くらい休ましてよ……」
そう呟きながらいつも通り髪をツインテール状に縛り上げ、目にかかった少しの前髪をなぞる。
「なんですの? いきなり呼び出されたかと思うたらこない大袈裟な。
尸魂界を取り仕切る隊長さん方が僕なんかのためにそろいもそろってまァ……」
こっちはてめえのせいで呼び出されてんだよ。
その言葉を飲み込んで白々しいギンの戯言に耳を傾ける。
「でもないか、十三番隊隊長さんがいらっしゃいませんなァ、どないかされはったんですか?」
「彼は病欠だよ」
「またですか、そらお大事に」
「ふざけてんなよ。そんな話にここに呼ばれたと思ってんのか?」
しびれを切らした剣八の声から察するにだいぶ不機嫌なようだ。
「てめえ、一人で勝手に旅禍と遊んできたそうじゃねえか」
自分も遊ぶ……もとい殺し合いたそうに言う。
「しかも、殺し損ねたってのはどういうわけだ? てめえほどの奴が旅禍の4,5人殺せねえわけねえだろ?」
「あら? 死んでなかったんやアレ」
「なに!?」
「いやァ、てっきり死んだ思うててんけどなァ、僕の勘も鈍ったかな?」
薄っぺらい笑みを浮かべて誤魔化す。
こいつも遊びたいだけだ。
「猿芝居はやめたまえヨ。我々隊長クラスが相手の魄動が消えたかどうか察知できないわけないだろ。それともそれができないほど、君は油断していたというのかネ?」
ククッと笑った後にマユリが言った。
始まったのは低能人種の馬鹿げんか。
ため息を吐くのさえあほらしく思える。