恋乱LB U

□闇鍋の結末
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「うう〜〜寒い!!」

身を縮こませながら、部屋へと入ってきた名無しさん

その手は先程まで水仕事をしていたのか赤くかじかんでいる


「炬燵に入りなよ」

俺に向かい合うように、そそくさと炬燵に入り込むと、ホッと溜め息をついた

「はあ〜〜暖かい〜〜」

「でしょ」

コテンと頭を垂れて、温かさに目を閉じる名無しさんにフッと笑いかけると、炬燵の中に投げ出された足に自分の足を絡める

「わっ!何ですか!やめてください!」

「いいでしょ別に」

「良くないっ…て、きゃはは!くすぐったい!!」

「そう?」

「やっ…やめっ!きゃはは!!」

「やめて欲しかったら、俺の隣に来なよ」

「わかっ…!わかりましたからっ!!」

ゼーゼーと肩で息をしながら、俺の隣に渋々移動する

「もー…何か無駄に疲れました…」

「でも体温まったでしょ」

「うっ!それはまあ…温まりました」

指を絡めてきゅっと握ると、ほんのりと熱を持った小さな手が静かに握り返してくれる

そのまま俺の胸にもたれ掛かるように体を預ける名無しさん

そっと抱き締めるとくぐもった彼女の声が聞こえた


「今日は寒いですから…おでんにしませんか?」

「おでんか…いいかもね」

「ここで佐助君と幸村様も呼んで…」

「あの二人も?」

「はい!皆で温まりましょう」

二人きりじゃないことに納得がいかなかったが、頑固な名無しさんはきっと聞き入れてくれないだろう

渋々了解すると今夜のおでんの準備をすると言って、楽しそうに部屋を出ていく


(おでん…か)
























「なあ〜〜まだなのか〜〜?」

「うるさいぞ佐助。少しくらい黙って待ってろ」

「お待たせしました!!」

グツグツと煮だった土鍋を部屋へと運んできた名無しさんに幸村と佐助が歓声を上げる

「待ってました!」

「お〜〜旨そう〜〜!!」

「ふふ。たくさんあるので、お腹一杯食べてください!」

土鍋の蓋をカパッと開けると、出汁の香りが部屋中に広がった

何でも器用に作ってみせる名無しさんの腕にいささか感動を覚えていると、柔らかな笑みを浮かべた名無しさんが皆に取り分ける

「俺、卵!!卵が食べたい!!」

「俺は何でもいいぞ!」

「俺も適当に」

「はい!」

名無しさんが手早くよそった、おでんが皆に行き渡ると早速箸をつけた



「うまーい!名無しさん!すごく旨いぞ!」

「本当?良かった」

「うむ。出汁がきいていて、すごく旨い!」

「ありがとうございます!」

モリモリと食べる幸村と佐助を嬉しそうな顔で見つめると、ふと俺の方へと視線を寄越す

「才蔵さんはどうですか?」

「うん、旨い」

「ふふ。良かったです」

「ちくわぶ旨いな」

「あ、私も食べよーっと…」

鍋からよそった、ちくわぶをふぅふぅしながら食べる

そのチマチマとした食べ方が可愛らしくて、ついからかいたくなった

「…美味しい?」

「はい!美味しいです!」

「流石、お前さんはくわえ慣れてるよね」

「ぶっ!!」

「どういう意味ですか先生?」

「さささ佐助っ…お前はまだ知らなくていいんだ…!」

「ちっ違います!幸村様!!」


そんな話をしながら、名無しさんの作ったおでんはどんどん売れていったー…




















「あれ?もうなくなっちゃった…!」

気付くと鍋の中は空で、もう出汁しか残っていない

「え〜〜もうないのか!?足りないよ!」

「うーん…俺も実はまだ…」

「結構作ったつもりだったんですが…おでんの具材も、もうないし…困りましたねぇ…」

困ったように頭を悩ませる名無しさん達にふと思いついたことを口に出す




「じゃあさ、適当な具入れて闇鍋ってのは?」

キョトンとした目で俺を見る三人

「闇鍋…?」

「そ。面白そうでしょ」

「まあ、幸い出汁は残ってますから…煮込めば何とかなるかも?」

「ま、たまにはそういうのも悪かねぇかもな!やるか!闇鍋!」

「じゃあ何か煮込んで食べられるもの持ってきます!」

「俺も行くよ」


そして二人で炊事場へと向かったー…





























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